“空前絶後!” スター刀剣がズラリ…「京のかたな」展の楽しみ方

News&Column

国宝 太刀 銘三条(名物三日月宗近)

 オンラインゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」の大ヒットをきっかけとした“刀剣ブーム”が続いています。このムーブメントを追い風に、京都国立博物館(京都市)で開催中の特別展「みやこのかたな たくみのわざとみやびのこころ」には連日、大勢の刀剣ファンが詰め掛けています。この展覧会の見どころや楽しみ方を紹介します。

 「京のかたな」展は、同博物館120年の歴史で初めての刀剣の特別展で、京都・山城系の刀匠とうしょうの名品を中心に、織田信長や豊臣秀吉ら歴史上の人物ゆかりの刀剣など約200件が展示されています。その規模は、同博物館学芸部主任研究員の末兼俊彦さんが「空前絶後」と表現するほど。

 山城の鍛冶職人が製作してきた刀剣を取り上げた理由について、末兼さんは「圧倒的ナンバー1は山城の刀だから」と言い切ります。「生産・流通規模や消費量という点では、ナンバー1は備前の刀剣です。山城物は格式が高く、高品質・少量生産なので、目に触れることが少なかったのです。しかし、アーティスティックな部分では、他者の追随を許しませんでした」と解説します。

「刀剣乱舞」声優が出演の音声ガイドも

 鑑賞する際にはまず、会場や公式ホームページで無料配布されている「京のかたな鑑賞ポイント」を手に入れてから会場を回るのがおすすめ。このチラシには、刃文はもん地鉄じがね(肌)の種類やめいの見方などがわかりやすく書かれています。

展覧会の図録(左)と鑑賞ポイントが紹介されているチラシ

 余裕があれば、音声ガイドを利用して展示を見るのも、世界観をより楽しめる方法です。俳優の伊武雅刀さんが語る通常バージョンに加え、ゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」に出演している声優の鳥海浩輔さん(三日月宗近みかづきむねちか役)、粕谷雄太さん(五虎退ごこたい役)、岡本信彦さん(膝丸ひざまる役)、諏訪部順一さん(千子村正せんごむらまさ役)の4人がナビゲートしているバージョンがあります。審神者さにわ(ゲームプレーヤー)なら、キャラクターボイスのナレーションと寸劇が入っている声優バージョンの方が、ゲームのプレイ感を味わえるでしょう。

 展示物は、同博物館の「平成知新館」という建物の1~3階で展示されています。3階からスタートで、時代順に展示されていますが、3階でまず目を引く刀は、国宝の「太刀 銘三条(名物三日月宗近)」。平安時代に作られた作品で、「刀剣乱舞-ONLINE-」の中では刀剣男士「三日月宗近」として、審神者から「おじいちゃん」という呼び名で親しまれています。

 ふだん所蔵されている東京国立博物館と異なり、今回の展覧会では「360度展示」となっています。全方向から作品を鑑賞できる好条件は、ファンにとってはうれしい限り。360度展示は、1階の国宝「刀 金象嵌銘 長谷部国重本阿(花押)/黒田筑前守(名物圧切長谷部)」などでも見られます。

壮観な「吉光部屋」

 2階の展示物でとりわけ壮観だったのは、末兼さんが「吉光部屋」とも呼ぶ、粟田口派の刀剣です。末兼さんによると、山城鍛冶の特徴である地鉄の精密さや焼刃の古雅さは、粟田口派の作品を基準として語られることが多いそうで、「粟田口派の作品こそが京刀の典型」と言います。ゲームに登場する秋田藤四郎や博多藤四郎、包丁藤四郎などのモチーフとなった、稀代の名工・粟田口吉光が手掛けた短刀がずらりと並んでいます。これらの短刀は「近づきすぎると見にくいので、若干ケースから離れて、しゃがんで腰を落とし、下からのぞくように見ると刃文や肌が見やすい」(末兼学芸員)とのことです。

太刀 銘□忠(名物膝丸・薄緑)

 1階も見どころが多く、京都・大覚寺蔵の太刀「膝丸」はその一つ。北野天満宮所蔵の「髭切ひげきり」(10月16~28日に期間限定で展示)とともに、源氏重代の宝刀と伝えられるものです。この2振りが同博物館で同時に展示されるのは2015年以来ですが、今回は同一ケースに並べられるということで、「兄弟刀が並んで展示される」と話題になっています。

 3階から1階までの展示をじっくり見たら2時間以上は必要な、盛りだくさんの内容。刀剣ファンはまさに“おなかいっぱい”になる特別展ですが、初めて刀剣を鑑賞する人にもわかりやすいはずです。紅葉が美しい秋の京都を訪ね、名刀を鑑賞してはいかがでしょうか。

(読売新聞メディア局編集部 杉山智代乃)

「刀剣乱舞-ONLINE-」宣伝隊長の「おっきい こんのすけ」(右)と京都国立博物館公式キャラクター「トラりん」

特別展「京のかたな 匠のわざと雅のこころ」
京都国立博物館(京都市東山区)で11月25日まで。月曜休館(10月8日は開館、翌9日休館)URLはこちら