共働き夫婦が離婚しないためにできること

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 仕事、家事、育児に追われて日々疲弊していくワーキングマザー。「なんで私ばかり……」と夫への不満がたまり、疲れ果てた頭の中に“離婚”の2文字がよぎった経験は、ワーママであれば誰もがあるのではないでしょうか。臨床心理士として多くの夫婦のカウンセリングを行ってきた「あきカウンセリングクリニック(東京都千代田区)」の大島明子さんが、離婚を考えたワーママの事例に対し、夫婦仲を改善するために何をすべきかを教えてくれました。

相手の状況を考えられない夫

 PR会社に勤務する高橋みどりさん(仮名、30代)は、夫と小学3年の娘との3人暮らし。これまでに何度も「離婚」の2文字が頭をよぎったそうです。
ある日、娘が高熱を出し、かかりつけの病院に連れて行くと、思ったより症状が重く、大きな病院に行かなければならなくなりました。不安で何度も夫の携帯電話にかけたものの、夫は電話に出ません。ようやくつながって状況を説明し、「帰ってこれない?」と尋ねると、夫は「そうかぁ、でも、接待中だから」と言って電話を切ってしまいました。その後、夫は深夜0時近くに酔って帰宅、そのまま寝てしまいました。

 ほかにも、大事なクライアントとの会議があったみどりさんが、前々から子どものお迎えや留守番を頼んでいたのにもかかわらず、夫は「社員旅行が入ったので無理。きみの仕事はどうにでもできるでしょ」と発言。まるで、妻の仕事の方が格下であるかのような態度に、みどりさんは「離婚だ!」と叫んでしまいました。

育児に無能な夫にうんざり

  マーケティング会社に勤務する伊藤美穂さん(仮名、40代)は、夫に対して「あきらめ」の気持ちを抱いています。
ある夜、仕事で用事が入ってしまった美穂さんは、自宅にいた夫に、2歳になる子どもの食事やお風呂、寝かしつけをお願いしました。午後8時に帰宅すると、いつもは寝ているはずの時間なのに、まだご飯を食べている最中でした。「ずっと家にいたのだから、いつもと同じタイムスケジュールでやってほしかった」とこぼす美穂さんに、夫は「そんな話は聞いていない」と反論。美穂さんは「もうこの人、要らないな」と思ってしまいました。

相手の気持ちがくみ取れない

 こうした夫婦間のすれ違いに、家庭裁判所の調停委員を務めた経験も持つ大島さんは「残念ながら、日本の男性は相手の気持ちがくみ取れない人が多いんです。女性が結婚前に、共感力の薄い男性であることを見抜けたらいいのですが、なかなか難しいのです」と指摘します。それでも、「相手に自分の気持ちを分かってもらう手立てはある」と大島さんは言います。

交換日記をつけてみる

 大島先生のオススメは交換日記。その日にあったことや感じたことを書き留めて、相手に渡します。相手は、一言感想を書くだけでOK。長々と書く必要はありません。その時に必ず実践してほしいのが、例えば「お帰りなさい。今日も一日お疲れさま」というようなねぎらいの言葉を添えること。これで相手の気持ちがグッとこちらに向くようになるそうです。

 「日記を書いているうちに、自分の気持ちも落ち着きますし、会話ではなかなか伝えられない気持ちも整理して伝えることができます。コミュニケーション不足が生む『すれ違い』も減らせます」と大島さん。
 ノートとペンさえあれば始められる交換日記。「この人とはもうだめだ」とあきらめる前にチャレンジしてみるのもよさそうです。

(取材・フリーランス記者 宮本さおり)

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大島 明子(おおしま・あきこ)

 臨床心理士・FSP 米国スワスモア大学卒業。米国メリーランド大学大学院にてカウンセリングを専攻。修士号取得。日本、米国、スイスにおいて、クリニック・学校・地域社会団体勤務を経て、「あきカウンセリングクリニック」を開業。その傍ら、学会やワークショップなどで、カウンセリング技術を磨く。3児の母。