多彩な味と香り…クラフトビール「五感」で楽しむ

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 クラフトビールの専門店が人気を集めている。多彩な味や香りが魅力のビールを生かすため、飲み方に工夫を凝らした店が目立つ。秋の夜長、五感でゆっくりとこだわりの味を楽しみたい。

 東京都墨田区の「麦酒倶楽部ポパイ」は、クラフトビール愛好家の間で「聖地」と呼ばれている。バーカウンター奥の壁一面にビールを注ぐタップが並び、常時70種類以上がそろう。

壁面にずらりと並ぶビールタップ(「麦酒倶楽部ポパイ」で)

 日本ビアジャーナリスト協会代表の藤原ヒロユキさんによると、クラフトビールとは、大手メーカーの量産品ではなく、主に少量生産の個性的なビールをさす。「ここ数年、香りや味の幅が広がっている。この店ではビールの個性にあったグラスでおいしい飲み方を提案してくれる」と魅力を話す。

 同店のグラスの種類は約20種類。低温発酵させた「ラガー」は、すっきりした味わいなので、細長いグラスでシャープな喉ごしを楽しむ。常温で発酵させる「エール」は、香りが特徴で、チューリップ形など口の広いグラスに半分程度を注ぐと、豊かな香りが引き立つ。店長の城戸弘隆さんは「ビールは、味や香り、色や炭酸の強弱など楽しみ方が色々あって奥深い」と語る。

 クラフトビールは、1994年の酒税法改正で、年間製造量60キロ・リットルと小規模でもビール製造が解禁になって広まった。当時は「地ビール」と呼ばれて注目されたが、人気は下火に。5年ほど前から「クラフトビール」と呼ばれて、再び注目が高まってきた。アメリカを始め、世界的に小さな醸造所のビールがブームになり、海外で日本のビールが評価されるようにもなったからだ。

醸造所が併設され、店内からタンクが見える(東京都渋谷区の「スプリングバレーブルワリー東京」で)

 藤原さんは「日本では、ビールは冷やして清涼感を楽しむ飲み物という印象が根強いが、高品質なクラフトビールが増えてきたこともあって、ようやくじっくり味わう文化が広まってきた」と語る。

 クラフトビールは、原材料の配合や発酵法などを工夫して、独自の味を作り出す。今年の注目は、収穫したばかりの国産ホップ「フレッシュホップ」を使うもの。通常は乾燥ホップを使うが、とれたてを仕込むので、鮮やかな香りになる。期間限定の楽しみだ。全国の専門店で10月28日まで「フレッシュホップフェスト2018」(https://freshhop.jp)を開催している。

 藤原さんは「クラフトビールには醸造家の思いが詰まっている。色々味わって自分の好みを探してみてほしい」と話している。

デザートとも「ペアリング」

 料理に合わせてビールを選ぶ「ペアリング」も楽しい。

 東京都渋谷区の「スプリングバレーブルワリー東京」では、6種類のクラフトビールと、それぞれに合うつまみを用意した「ペアリングセット」(2300円税込み)=写真=が人気だ。

 藤原さんは「意外に思うかもしれないが、ビールは前菜からデザートまで、どんな料理にも合う」と話す。例えば、黒ビールとチョコレートケーキ。黒ビールのコクや深みのある苦みに、チョコレートの濃厚な甘さがよく合うという。(読売新聞生活部 矢子奈穂)