予算3000万円、東京の新築……どんな物件が買える?

35歳、働き女子よ城を持て!(4)

 現在、月々の家賃を7万5000円前後払っている人なら、目指す目安は3000万円であるという話を前回した。

 これについて、実際に新築マンションを売るサイドの人間はどう考えているのだろう。訪れた銀座ど真ん中の超強気モデルルームで、+ONE LIFE LABの担当者である新日鉄興和不動産の和田浩明さんに話を聞いてみた。

 高殿「まず、@cosmeさんとコラボレーションされたことに驚きました。マンションを作るのに、そんなやり方があるのかと」
 和田「人口が減っていく中で、逆に単身世帯は増えています。わが社では今後の事業戦略として“独身者”に注目し、独自の黄金プランを作りました」

 その和田さんの言う黄金プランというのがこれだ。

単身世帯向け1LDK(黄金プラン)七つの基準
1.バルコニーに面したLDと寝室
2.LDはソファーとダイニングセットが置ける
3.LDと寝室の間仕切りはスライドウォール
4.寝室はセミダブルベッドが置ける
5.キッチンはセミオープンの対面カウンタータイプ
6.シューズインクローゼットとウォークインクローゼットを配置
7.独立型のトイレと洗面化粧台

 このうち、洗面化粧台は@コスメとの共同企画だという。実際、銀座のカフェに併設されているモデルルームを見てみた。

 M村「うわー、キラキラですね! すごい。ゴージャス! きれい!(モデルルーム初心者)」
 高「これ、どこまでが標準プランで、どこからがオプションですか?(モデルルーム猛者)」

+ONE LIFE LAB 銀座ギャラリーのモデルルーム。このまま住みたくなる、おしゃれな部屋

 モデルルームの仕様はオプションで埋め尽くされていることがほとんどなので、フワーッと舞い上がらないようにしよう。所詮、あれば“モデル”である。

 高「チェックすべきは、標準でどれだけついているか。そして、余計なものはついていないか」
 M「余計なものって?」
 高「たとえばジムや豪華なカフェテリアつきのマンションは、一見便利に見えるけど、すべて管理費でまかなうので、管理費がバカ高かったりするよ」

 まずは自分に必要な平米数を体感しよう。ここでは黄金プランの33平米が果たして自分にフィットするのか否かが重要だ。

 あくまで私感だが、このプランは1人暮らしで必要なものがコンパクトに収まっている、という感じ。一人ならいいが、二人暮らしにはちょっと狭く感じる。

メイクをしっかりチェックできる三面鏡を備えた洗面化粧台。収納や照明もバッチリ!

 高「たしかに@コスメコラボ洗面化粧台は便利だけれど、水回りの収納が充実しているのは、実は最近の新築ではもうあたりまえになっていて、特別、これといった驚きはないかなあ」
 M「でも、洗濯ものを室内で干せるツールや、ガラス窓がUVカット構造になっていることはポイントが高いですね。さすが新築って感じです」

 @cosmeといえばチープで高品質なコスメのレビューが見たい時に必ずチェックするサイトというイメージだが、どういうデータを照らし合わせた上で、この黄金プランを作ったのだろうか。再び、和田さんに聞いてみた。

 和「まず、@cosmeの女性ユーザーを対象に『理想の住まい』に関するウェブアンケートを実施しました」

 そして今回、この黄金プランを反映したマンションが、「リビオレゾン板橋本町ステーションサイド」。なんと板橋なのである。都心とは言えない。やはり新築は都心から少し離れないと選択肢はないのか。

 和「まず重視したのが利便性。そして価格帯です。その2点が最も反映されています」
 高「板橋でということは、予算3000万円では都心は無理だと?」
 和「都内の1LDKのマンションはどんどん高くなっています。狭くて安くても4000万弱になってきている。買える価格と利便性を考えたとき、板橋本町が適切であると考えました」

 実際、この黄金プランの予定価格は2800万円台(9月18日現在)からだ。仮に35年ローンを組めたとして月7万円ほどだから、金額的にはたしかにお手頃である。

 高「でも、板橋となると山手線の外側だよね。利便性という点ではやっぱり都心に劣る気がするね」
 M「最近、ゲリラ豪雨や雪や台風で交通がマヒしがちなので、ぜったい郊外に電車とつながっていない地下鉄沿線が条件って人もいました」
 高「埼京線はとにかく混むから嫌だって声もあるし、同じ理由で東急東横線や小田急も。混む電車で通勤はしんどいね。せめてフレックス勤務なら気にしないですむのかも。これはもう勤務先次第だなあ」

 その勤務先も、今の働き方では転職は当たり前。たしかに板橋本町から大手町までは一本で20分だが、勤務先が大手町以外だと話は違ってくる。

 高「この利便性については、中古なら都心に買えるのではないか、という声も当然あると思いますが、新築マンションを売る立場としてどう思われますか?」
 和「そうですね。銀行のローンをくむときに、新築と中古では住宅ローンの条件が同一とは限りません」

 ザッツ住宅ローン問題! そう。中古物件は必ず銀行がお金を貸してくれるとは限らないのだ。

 和「新築物件の方が好条件になる場合があります。それがメリットの一つでもあります」

 実際問題として、3000万~3500万を一つの予算ラインとした場合、山手線の内側で3000万円以下の1LDKが供給されることは、現状極めてまれなのだそう。

 和「でも、1Kだったら買える。山手線の外側だったら、1LDKが買える。中古だったら山手線の内側で1LDKが買える。外側だったら、中古の2LDKが買えるかもしれない」
 高「そこで、中古の2LDKか新築の1LDKか。山手線の内側か外側かは物件によって選び分けるしかないってことですね。そして、貯金と相談と」

 もし、あなたが頭金に回せる貯金がないなら、新築を中心に探すのがいいだろう。広さ重視なら、はじめから山手線外を視野に。そして都心にこだわる人は、狭いことを覚悟するか、中古物件で住宅ローンを通すために、とにかくひたすら情報と頭金を貯めよう。

 高「最後に、日本人はとにかく大手志向というか、ブランド好きと言われますが、そこへ食い込んでいくために、御社ではどのような企業努力をされていますか?」
 和「ミレニアム世代へのアプローチですね。これからの単身者のメイン層となる世代であり、高齢者と合わせて今後更なる研究、商品開発を行う余地があります。単身者の暮らし方・住まいをラボで研究し、住まい選びのサポートをしたい。そのために、今回は単身世帯のための黄金プランである1LDKを開発し銀座モデルルームをオープンしました。今後はシニア世帯にも幅を広げていきたいと考えています」

 なるほど、ブランドにこだわらないミレニアム世代にアピールするため、まずは社名を信用してもらうための「銀座のモデルルーム」、そして、@cosmeというわけだったのか。その戦略は十分理解できる。

 高「大手レビューサイトなら、ブランド化粧品もチープコスメも、レビューがどれだけあって、どれくらいの価格帯のコスメがどれくらいの年収の女性に使用されているか、データを持ってるだろうなあ。そこから、現実の単身女性がどこまで本当にブランド志向なのかも割り出せるはず」
 M「なるほど、日本人はブランド志向とはいえ、どこまで事実か、問題ですね」
 高「やっぱりそれに、33平米じゃ結婚して子供ができたときには絶対狭いから、その場合は貸せるかすぐ売れる物件がマストじゃない? やっぱりなんだかんだいって都心よりに超したことはないよね」
 M「すると、やっぱり中古物件も要検討ですね」

 しかし、その肝心要の中古物件、そこそこ都心、30平米以上の条件では数が多すぎてとても絞り込めない。いくら都内に住んでいても、それ以外の地域のことについて情報がない人が多いのではないだろうか。

 高「人間、やっぱり経験したことないことはピンとこないものですよ。よく知らない地域の家を何千万も出して、いきなり買えない」
 M「ですよね。わたしもそんな勇気ないです」

 というわけで、いったい我々はどこのエリアを選ぶべきなのか。どこから手を付けていいのかわからないあなたにお勧めしたい、心強い不動産のプロ。その名もホームインスペクター!

 M「ホ、ホームインスペクター? ってなんですか?」
 高「なんでも、公平な立場からズバズバ本当のところをアドバイスしてくれる、家専門のプロ鑑定士なんだって」

 餅は餅屋に。そして中古物件は中古物件のプロに見てもらおう!

 監修:風呂内亜矢/協力:新日鉄興和不動産

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高殿円(たかどの・まどか)
作家

 兵庫県生まれ。2000年『マグダミリア三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー。著作に、「トッカン」シリーズ、「上流階級 富久丸百貨店外商部」シリーズ、『メサイア 警備局特別公安五係』『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』、「カーリー」シリーズ、『剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎』『主君 井伊の赤鬼・直政伝』『政略結婚』など、話題作を続々と発表している。13年『カミングアウト』で第1回エキナカ書店大賞を受賞。漫画原作も多数。

風呂内亜矢(ふろうち・あや)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)CFP®認定者、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

 26歳(独身)のとき、貯金80万円で自宅用マンションを衝動買いしたものの、物件価格以外にも費用がかかることを知り、 あわてて貯金とお金の勉強を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し、賃料収入を得ている。 マンション購入をきっかけに転職したマンション販売会社では年間売上1位の実績を上げ、 2013年からはファイナンシャルプランナーとして独立。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです』(祥伝社)、『デキる女は「抜け目」ない』(あさ出版)、『図解でわかる!確定拠出年金』(秀和システム)、『最新版 届け出だけでもらえるお金 戻ってくるお金』(宝島社)などがある。最新刊は『ほったらかしでもなぜか貯まる!』(主婦の友社)。ツイッター:@furouchiaya、LINE@:@furouchi  

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