「スポーツ」と「スイーツ」一緒に楽しむ

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個別包装で持ち運びやすい「スポーツカステラ」

 運動のお供に甘味はいかが――。老舗和菓子店のヨガ教室など、スポーツとスイーツを一緒に楽しむ取り組みが広がってきた。糖質は運動後の疲労回復にも欠かせず、メーカーも運動時の栄養補給に特化した菓子を発売するなど新たな需要に注目している。

休憩中や終了後 糖分補給し疲労回復

 東京都港区の「トラヤ アオヤマ」では8月から、毎週月曜日の午前7時半からヨガ教室を開いている。8月下旬の回には7人が参加。朝の光に満ちた店内で「自分の呼吸を聞いてみる」というテーマで45分間のレッスンを受けた。

 レッスン後には、手のひらサイズの小型ようかん2個と小豆茶1缶が配られ、その場で食べるなど思い思いに味わっていた。参加した港区の女性会社員(45)は「和菓子屋でヨガという意外性にひかれた。ようかんならヘルシーな印象で食べやすい」と話す。

「トラヤ アオヤマ」でヨガを楽しむ参加者ら。レッスン後にようかんを頬張る参加者もいる(東京都港区で)=横山就平撮影

 同店は新国立競技場に近く、周囲ではジョギングをする人の姿も多く見かける。スポーツウェアのまま気軽に立ち寄れる店として7月に開店した。ヨガのインストラクターでもある店長の菅野千恵子さん(29)は、「ようかんを食べる新しいシーンを作りたかった」という。

 運動後だけでなく、スポーツ中や休憩時などの糖分補給にも菓子が取り入れられている。

 マラソン大会では、給水所ならぬ「給菓子所」も登場した。金沢市の金沢マラソンでは「百万石和菓子スポット」を設け、きんつばやらくがんといった10種の和菓子などを提供している。食べやすいよう一口サイズに切り分けられ、菓子コーナーの先にはお茶もある。

 昨年は、約1万4000人の参加者に対し約2万1000食分を準備したが、すべてなくなったそうだ。事務局では「金沢らしい和菓子文化を感じてもらえれば」と話す。

 長崎県雲仙市の「千鶏カステラ本舗」は昨年9月、バナナ味の「スポーツカステラ」を発売した。見た目は通常のカステラと同じだが、材料の上白糖のうち20%を甘味料「パラチノース」にしている。パラチノースは消化吸収の速度が緩やかなため、持続性があるエネルギー源として、スポーツ時にも向くという。

 しっとりとした口当たりが特徴。同社総務部長の三宅和徳さんは「スポーツ飲料と一緒に食べてもらってもおいしい。東京五輪に向けて長崎のカステラの発展形をPRしていきたい」と意気込む。

「スポーツようかん」はスティック状で、押すと中身が出るので運動中も食べやすい(井村屋提供)

 井村屋(津市)の「スポーツようかん」もパラチノースを使用する。2012年に発売した小豆ようかんに加えて、昨夏は「カカオ味」を発売。広報担当者は「カカオ味はふだんようかんを食べ慣れない子どもや、外国人の方にもお薦めです。汗で失われる塩分も適度に補えます」と話す。

 アスリートの食事に詳しい管理栄養士の椎橋聡子さんは、「甘味に含まれる糖質は運動時のエネルギー源であり、疲労回復にも必要」と解説する。ただし、運動前に大量の甘味をとることや、運動後でも油分を多く含む菓子をとるのは避けた方がよいそうだ。

 「スポーツの後、速やかに疲労回復するためには、たんぱく質を含む牛乳やヨーグルト、ビタミン、ミネラルを含む果物や果汁100%のジュースなどを一緒に補給しましょう」とアドバイスしている。(読売新聞生活部 野倉早奈恵)