「デリケートゾーン」啓発の動き…自己流対処より正しいケアを

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 「デリケートゾーン」「フェミニンゾーン」などとも呼ばれる女性器の外陰部について、適切なケア方法を啓発する動きが出てきた。知識不足から自己流で対処して疾患などにつながるケースを防ぐのが狙いだ。刺激の少ない洗浄剤などの関連商品も増えている。

啓発講座や関連商品増加/自己流による疾患防ぐ

「デリケートゾーンケア アンバサダー講座」では、手入れの方法や年齢別の注意点などを学ぶことができる(たかくら新産業提供)

 さいたま市でサロンを経営するボディーセラピストの加藤智子さん(40)は、利用客に向けて性器周りの洗い方や潤いを保つためのマッサージ方法、年齢による状態の変化などを伝えている。「女性特有の悩みについて、世代を問わず相談を受けることが増えている。体への理解を深め、快適に健やかに過ごせる手伝いをしたい」と話す。

 専門的な知識は、オーガニック関連商品の製造販売業、たかくら新産業(東京)が主催する「デリケートゾーンケア アンバサダー講座」で学んだ。看護師や保健師など女性の健康に関する仕事をする人を対象に、産婦人科医の監修のもと、助産師が講師となり、日常の適切な習慣や、間違った手入れによるトラブルなどを解説する。

 デリケートゾーン用ケア用品のブランド「ピュビケア オーガニック」も扱う同社は、講座を昨年6月に始め、受講者は累計で200人を超えた。社長の高倉健さんは「デリケートゾーンの悩みは相談しにくく、助言できる人も少ない。情報を発信する人を増やし、多くの女性が知識を得るきっかけにしたい」と話す。

 医薬品メーカーや産婦人科医がホームページで注意点を伝える例も増えるなど、啓発の動きは広がっている。誤った自己流ケアを防ぐためだ。

 東邦大学大森病院(東京都大田区)の泌尿器科医、青木九里さんは「排尿や排便後、拭き方や洗浄便座の使い方が原因で、ぼうこう炎や外陰炎になる人もいる」と話す。

 女性は尿道口と膣口(ちつこう)、肛門が近く、大腸菌が尿道や膣に入りやすい。これを防ぐには、排尿後は前後に手を動かさず、トイレットペーパーで数秒押さえて水分を取るのが正しい方法だ。また、排便後は前から後ろへと拭くとよい。

 一方で、「過度の清潔意識もトラブルの元」と青木さん。洗浄便座で尿道口まで洗う人もいるが、大腸菌が膣や尿道に入り、疾患の原因になりかねない。ビデの使いすぎも、常在菌を洗い流す恐れがあるという。

ぬるま湯か弱酸性低刺激の洗浄剤使用

洗浄剤、ふき取りシートなど、デリケートゾーン専用の商品が登場している

 デリケートゾーンを洗う際にも注意を払いたい。

 よしの女性診療所(東京都中野区)の産婦人科医、吉野一枝さんによると、成人女性の外陰部や膣内は酸性の状態。常在菌が正常に働き、有害な細菌の繁殖を防ぐ。一方、市販の体用洗浄剤の多くはアルカリ性で、常在菌の働きを阻害する。「ぬるま湯で洗うだけで清潔さは保てる。洗浄剤などを使うなら、弱酸性や低刺激のものを」と助言する。

 専門商品もある。コーセーの敏感肌用洗浄料「カルテクリニティ デリケートケアウォッシュ」は刺激の少ないタイプで、デリケートゾーンも洗える。ユニ・チャームの「ソフィ デリケートウェットシート」は、おりものが気になる際などにウェットティッシュのようにして使える。

 きちんと手入れしたつもりでも、乾燥やかゆみの症状が出たり、おりものが増えたりすることがある。その場合はためらわず、専門医を受診しよう。「ケア意識だけにとらわれず、体の状態の変化に気を配って」と吉野さんは話す。(読売新聞生活部 上原三和)