同性婚をした弁護士仲間に思うこと

弁護士三輪記子の「女もつらいよ!」

 前回は「婚姻障害事由」について書きました(前回コラム「年の差婚」結婚できる相手とできない相手)。法律上、元配偶者の親とは結婚できないことなどを挙げ、「こんな場合に結婚できないなんて、おかしくない?」と疑問に感じていただきたかったからです。今回も、私が「結婚できないなんて……」と考えていることについて書きたいと思います。

 テーマは「同性婚」です。従来、結婚といえば当然のように男女の結婚が前提とされていましたし、同性婚について深く考えたことのある人は少ないかもしれません。

 最近は「LGBT(性的少数者)」という言葉を聞くことが多くなってきました。Lはレズビアン、Gはゲイ、Bはバイセクシュアル、Tはトランスジェンダーを指す言葉で、LGBTはその総称です。私の知人・友人にもLGBTの方がいます。「自分の周りにはいない」という方もいるかもしれません。しかし、それは彼ら・彼女らが表明していないだけで、きっとそばにいるはず。そう考えれば同性婚だって、別の世界の出来事ではないのです。

同性同士の結婚は困難

 私は数年前まで、「結婚なんてどうでもいいわ」なんてうそぶいていました。しかし、それは30代半ばのヘテロセクシュアル(異性愛者)の女性である自分の思い上がりなのだと気づかされることがあったのです。

 それは、「同性婚 私たち弁護士夫夫(ふうふ)です」(祥伝社新書)などの著書もある大阪在住の南和行弁護士と吉田昌史弁護士のドキュメンタリー映像をテレビで見たときのことです。

 映像では、彼らが結婚式を挙げて親しい友人にカミングアウトすることを決意し、決行した姿が映し出されていました。彼らにとって、それがいかに大変なことであり、同時に、それが彼らの人生にとっていかに重要なことであるのか。結婚とは、人生を共にするパートナーを社会的に(あるいは法律的に)認めてもらうことなのだと気づかされました。そして、同性同士で結婚することが事実上、困難であることをあらためて思い知らされました。

「個人の尊厳を尊重」憲法の趣旨に合致

 憲法24条は1項で「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」としています。また2項では「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」と規定しています。

 「両性」「夫婦」という文言があることから、結婚は男女でしかできないと考える向きもあるようです。しかし、憲法24条は、現行憲法が制定される前の時代に、女性が個人として尊重されていなかったため、女性の立場に配慮して規定されたもの。「両性」「夫婦」という文言があるにせよ、結婚については「個人の尊厳を可能な限り尊重する」ことこそが憲法の趣旨であり、結婚制度は男女のみに限定されないと、私は考えます。

 夫婦別姓問題もそうですが、個人が自由に選択できる範囲にあると考えられる事柄には、法律はできるだけ干渉しないほうがよいのではないでしょうか。法律が「個人の自由を可能な限り尊重する」ことは、あなたが自由でいることも、可能な限り尊重されるということなのです。現在の法律では認められない同性婚。あらためて「認められないのが当たり前」と思いますか?

 南弁護士と吉田弁護士の生活を描いたドキュメンタリー映画「愛と法」が今月下旬に公開されます。相手が同性であっても異性であっても、愛し合う二人の関係は尊いもので、区別する必要はない。試写を見て、私はそう感じました。同性婚の問題だけではなく、弁護士である彼らが手掛ける案件を通じて、現代の日本社会に根ざしている様々な問題に気づかされるはずです。

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三輪記子
三輪 記子(みわ・ふさこ)
弁護士

 三輪 記子(みわ・ふさこ) 弁護士。1976年生まれ、京都市出身。東京大学法学部卒、立命館大学法科大学院修了。2010年、弁護士登録。「白熱ライブ ビビット」(TBS系)、「キャスト」(朝日放送)などにレギュラー出演し、コメンテーターとしても活躍中。2017年に女性弁護士2名の事務所「東京ファミリア法律事務所」を開設。