旅行のスタイルは国によって違う?

サンドラがみる女の生き方

 皆さんは、夏休みはとれましたか? 先日、知人が「発言小町」に投稿されている「外国人観光客はみんなお金持ち?」という面白いトピックを送ってくれました。ここで投稿者は「日本でリピーターになったり長期滞在の外国人観光客もよく見かけるけど、自分は一度しか海外旅行はしたことがない。外国人観光客はみんなお金持ちなの?」と質問しています。

 このトピックを読んでからというもの、私もいろいろと思うところがあり、何か言いたくて、うずうずしておりました。旅行のスタイルは「国によって」違う部分も大きいので、今まであまり気にしていなかったのですが、「見ている側」からすると、冒頭の投稿者のような感想を持たれることもあるのだな、なんて考えさせられました。というわけで、今回は「旅行スタイル」についてです。

「爆買い」の背景にあるものとは?

 最近は少し落ち着きを見せた印象ですが、以前、テレビで中国人による日本での「爆買い」の様子がよく報道されていました。実際に都内のデパートに行くと、中国語のアナウンスをよく耳にしますし、買い物袋を大量に抱えた観光客が観光バスの方面へ歩いていく光景もよく目にします。彼らは「ショッピング」を目的に、日本に来日していることも多いのですね。

 聞けば、中国にも日本と同様「旅行から帰ってきたら、お土産を手渡す文化」があるとのこと。旅行者が自ら「誰々さんには、これをあげよう」とお土産を買ってくることもあれば、旅行に行くと知っている家族や親戚、同僚や友達、知人にあらかじめ「日本に行ったら、これを買ってきて」と指定されることもあるのだとか。これで、なぜ家電屋さんで見かけた中国人がスマホとにらめっこしながら、電化製品の前で真剣な表情をしているのかが分かりました。
 ショッピングは「自分用」もあるけれど「お土産」という部分も大きいようなのです。逆にヨーロッパ人だと「旅先でお土産を買う」という習慣がないため、旅先でのショッピングは最低限に抑えられている印象です。

ヨーロッパ人は長期滞在型? リピーターになる理由

 日本では、1週間や10日ほどの「長め」のお休みをとってヨーロッパや中東、南米などを旅行する人もいますが、仕事を早めに切り上げる「プレミアムフライデー」や、最近話題になった、月曜に午前休を取る「シャイニングマンデー」に見られるような「仕事の合間に『少しだけ』休んでリフレッシュ」的な旅行が多いような気がします。

 そのせいか、週末または週末に少しだけ日にちを足して行ける距離にある近場の韓国・台湾・香港などのアジア諸国・地域が人気のよう。「旅行ももちろん楽しむけれど、あくまでも仕事のことを考えた休み方」です。

 逆にドイツ人を含むヨーロッパ人は「仕事のためにリフレッシュ」というよりも、「休暇とバケーションそのものが目的」であることが多いです。そのため、1、2日と休むのではなく、2、3週間「どーん」と休んで、ゆったりと旅をします。基本的に、長めの旅行は欠かせないものと考えている人が多いです。

 当然、旅そのものにかけるエネルギーもすごいです。メジャーな都会をまわる人もいますが、それぞれが自分の好みで、あまり知られていないエリアを発掘して行くことも多いのです。
 ビーチが好きな人であれば、他の観光客があまりいないビーチをそれはすごいエネルギーをかけて探し出しますし、たとえそのビーチが地球の反対側にあるものすごく遠くて、アクセスが悪い場所にあったとしても、長い時間をかけて夢のビーチをめがけて行きます。その場所が気に入って、地球の反対側に毎年「通う」人も。

大久野島(広島県)

 動物好きの人には、日本の「ウサギ島」こと大久野島(広島県)が大人気です。2回訪れたというドイツ人女性は、普段はあまり笑顔を見せないクールな雰囲気なのですが、この話になると、思いっきり目尻を下げながら、島でのウサギとの触れ合いについて語ってくれました。おそらく3回目の旅行もありそうな勢いです。

旅先での食事にはあまりこだわらない!?

 日本人の場合、旅行といえば旅先で「その地でおいしいもの」を頂くことを楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。もちろん、食べることを楽しみに旅をするヨーロッパ人もいますが、どちらかというと少数派かもしれません。
 「自分のこだわり」(たとえばビーチや動物との触れ合い等)さえ満たせれば、食事には特にこだわらず、極論をいえば1日3食全部サンドイッチ等で済ます、という人も意外と多いのです。そのあたりに冒頭で紹介した発言小町の質問に対する答えの鍵がありそうです。

 「自分のこだわりにはお金を使い、そうでないところはキュッと締める」というわけです。そう考えると長期滞在やリピートも納得ですね。

身も蓋もないお話

 さて、身も蓋もない話になってしまいますが、各国の旅行の傾向に関しては、その国の人たちの趣味嗜好だけでは語りきれない部分があります。2、3週間の長期滞在が可能なのは、ドイツを含むヨーロッパの国々が長期の有給休暇取得を認めているからです。

 たとえばドイツは、国が定めている1年の有給休暇は24日ですが、企業によってはこれよりもっと多いこともあります。基本的に有休は全部消化します。なお病欠に関しては、有休から引かずに別途病欠扱い(ただし遅くても欠勤3日目からは医者の診断書が必要)となるため、日本のように「何かあったときのため、念のために有休を残しておこう」という考えはなく、皆さん、有休は基本的にほぼ全部「海外旅行」に使うという背景もあるのでした。

 ただ旅行でいろいろと活動し過ぎたため、旅行から帰って出勤1日目に「あ~、旅行疲れたわ~。私また休暇が必要」と大きな声で言っている人がいたりするので、ちょっと笑い話みたいですね。

 さて、筆者は今月、母国であるドイツに行ってきました。6月ぐらいに現地の友達に「8月にドイツに行くから会おうね!」と連絡をしたら、ほぼ全員から「あ、8月は南の島に行っているから、ドイツにいない」と言われてしまいました。

 そんなわけでドイツ滞在は、ちょっぴりさびしかったです。でもリフレッシュできたので、また仕事がんばれそうです。なんだか日本的な締めでしたね。

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Profile プロフィル

サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト。

 ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオ共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(ともに流水りんこ共著/KKベストセラーズ)など。
 「ハーフを考えよう!」http://half-sandra.com/