こんなに違う!世界の水着~ブルキニからフェイスキニまで

サンドラがみる女の生き方

 夏は海水浴の季節ですね。海水浴といえば「水着」ですが、色んな国のお店で水着売り場を見て回ると、日本と海外ではだいぶ水着のスタイルというか、デザインが違うということがよく分かります。海外のビーチで水着を見ると、どこの国の人だか分かる……というのは少し大げさだけれど、「国によってかなりの違いがある」のは確か。今回は、そんなビーチファッションや水着についてのお話をします。

ヨーロッパの人に好まれる水着とは

 欧州の人が多いビーチを見ていると、ワンピースよりもビキニを着ている女性が圧倒的に多いです。なお、「泳ぐこと」が目的のプールでもそうなので、日本の感覚だとちょっと不思議かもしれません。

 ちなみに、ワンピースもビキニも、ドイツで売られているものは胸の部分にパットがないタイプが多いです。日本でドイツ人の友達が、ドイツで買った水着を着てプールに入ろうとしたら、監視員に「胸の部分が透けているようですので、申し訳ないのですけれど、ニプレスを貼った上で再度お入りいただけますか」と注意され、ご丁寧にもニプレスを買う場所の案内までされたのだとか。

 以前、下着がテーマの時も「ドイツではブラジャー越しに乳首が透けていても、たいしてマナー違反ではない」と書きましたが、水着に関してもまさにそう。しかし、日本では注意されてしまうこともあるようです。

 さて、ドイツを含むヨーロッパのビキニに関していうと、色こそベーシックなものが多いですが、全体的に「布の面積」が少なめのデザインのものが目立ちます。詳しくは後述しますが、どうもヨーロッパでは「水着とは……」という定義がはっきりしていて、「こういうデザインでないと水着と認めない」という頑固さを感じるのです。

 たとえば以前、ドイツ人の知人と日本のプールに行った時、私は日本のいわゆる「競泳用の水着」を持っていきました。なんだか嫌な予感はしていたのですが、案の定、水着に着替えた瞬間、知人にこう言われました。「え……それ、水着なの?」。その時、私が着用していた競泳用水着は、ハイレグとは遠いところにある、いわば水着の生地が短パンのように太ももに張り付いているタイプで、胸の前にはチャック、さらにデコルテは隠れていて、肌の露出があまりないタイプのものだったのです。

 ところが、ヨーロッパには「水着とは肌を露出するもの」という定義があるようでして、その定義に合わないタイプの水着を着ていると、厳しい視線が飛んできたりします。もしかしたら、ヨーロッパ人にとって「水着」を着る場は、社交場というか「見せる場」であり、「魅せる場」という要素が強いのかもしれません。

デザインも多様なブルキニ

 一方、日本のショップやデパートの水着売り場に行くと、ヒラヒラとしたデザインのものや、カラフルで肌を露出するタイプの水着も売られていますが、「日焼け」を防止するためのデザインのものも多いです。水着の素材ではあるけれど、レギンスのように足を全部覆っていたり、腕を隠す長袖のタイプのものだったり、ビーチ用の帽子で防備したりと、完全防備スタイルであることも珍しくありません。特に子供の付き添いで海やプールに出かける女性には、このスタイルが多い印象です。

 さて、近年、ヨーロッパのプールではBURKINI(ブルキニ)をちょくちょく見かけるようになりました。ブルキニとは、「ブルカ」と「ビキニ」からくる造語で、肌を露出せずに、デザインもゆったりしていて体の線をあまり見せないイスラム女子のための水着です。

 中東にはだいぶ前からこのスタイルがあったようですが、ヨーロッパでこのブルキニの存在が広く知られるようになったのは、ここ数年です。ドイツでは、イスラム教徒の女児が学校のスイミングの授業でブルキニを着たり、大人の女性がそれを着用して泳いだりと、目にすることが増えました。

 私自身は買ったことはないのですが、フランスのショッピングサイトで紹介されているブルキニを見ていると、「デザインが多様で本当におしゃれだな」と楽しい気分になります。

 本来は、女性が宗教上の理由から、肌を見せずとも水泳を楽しむためのブルキニですが、デザイン的に日焼けをしたくない人にも最適なので、日本の女性でこれを着てみたいという人も多いそうです。

 私自身もブルキニの様々なデザインを見ていて楽しいし、多様な水着があってよいと思うので、ブルキニ女子を応援しているのですが、ヨーロッパではブルキニに見る多様性を応援する雰囲気もある一方で、フランスやドイツの一部の自治体などでは、ブルキニの着用を禁止しているところもあります。ヨーロッパでは、「水着」を巡ってしばしば文化の衝突が起きており、なかなか複雑な状況です。

 個人的には、ヨーロッパの従来の「水着とはこうあるべし」という考えから多少離れたところで、何の問題もないと思っています。印象的だったのが、リオデジャネイロ五輪(2016年)の女子ビーチバレーのエジプト対ドイツ戦。

 肌の露出の多いヨーロッパ風ビキニを着たドイツ人女性と、身体を覆う水着で参加したエジプトチームの女子を見て、「違う格好をしていても、一緒にスポーツはできるんだ」ということを世界に印象づけました。

顔を覆う水着!?

 ここ数年は顔を覆う中国の「フェイスキニ」が日焼け防止のために流行するなど、世界のいたるところで水着が多様化しています。ヨーロッパの「顔やボディーを見せるのが水着」という考え方もあれば、「日焼け防止」や「宗教」を第一に考える人もいます。その多様な価値観が水着に表れているのですね。

 なにはともあれ、あと1か月もすれば猛暑からも解放されるはずですので、今のうちに夏ならではの海水浴を楽しみたいですね。皆さん、良い夏休みをお過ごしください。

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サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト。

 ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオ共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(ともに流水りんこ共著/KKベストセラーズ)など。
 「ハーフを考えよう!」http://half-sandra.com/