夏の「ムダ毛処理」はエチケット?海外では

サンドラがみる女の生き方

 夏は薄着になったり、ビーチやプールで水着を着たりする機会が増えるので、「キチンとムダ毛の処理ができているだろうか……」と、「毛」が気になる季節でもあります。だいぶ前から日本では、永久脱毛を施す女性が増えていますが、海外ではどうなのでしょうか。今回は、海外の「ムダ毛事情」にスポットを当てます。

ワキの毛の処理はエチケット?

 日本では、「ワキの毛の処理=エチケット」とされているようです。よって日本では、ノースリーブを着ている女性がワキの毛を処理していないのを見かけることはほとんどありません。そんな事情もあってか、ドイツなどヨーロッパ諸国へ渡航した日本人から怪訝けげんそうにこう聞かれることがあります。「ワキの毛が生えている女性を何人か見かけたのだけれど、向こうではそれが普通なの?」

 さて、答えですが、「近年、ワキの毛を処理している女性は多いが、処理していなくても、たいしてマナー違反ではない」といったところでしょうか。ファッションに敏感な人、そして今の若い世代はワキの毛を処理している女性がほとんどですが、かといって処理をせずにノースリーブを着て公の場に出たとしても、「マナー違反」ではありません。そりゃ、処理している人たちから「処理すればいいのに……」と言いたげな視線を感じることもあるでしょうが、日本のように、周りが「なんだかヤバイものを見てしまった……」という雰囲気になるような深刻さはないというわけです。実際にドイツのオフィスや電車など公共交通機関でも、ワキの毛が生えている女性をときたま見かけます。

ヨーロッパで「アンダーヘア・ゼロ」が流行る理由

 では、ヨーロッパ人全員が「毛」に無頓着かというと、そんなことはなく、アンダーヘアを全部ない状態にする「ハイジニーナ」と呼ばれる脱毛が人気です。ブラジリアンワックス(粘着力のあるワックスを塗り、固まったところで一気にはがして毛を抜く方法)で処理することが多いです。

 なぜアンダーヘアを「ゼロ」にすることが流行はやっているのかというと、それが好きな男性がいる(カップルで男女ともアンダーヘアをぜんぶ処理し、ツルツルにしていることも)というのもありますが、単純に「Tバックが人気だから」というのも理由のひとつです。

 前回、ヨーロッパの人は体のラインが出るパンツ(ズボン)をよくはき、「お尻のライン」を気にする傾向があるため、Tバックをはく、と書きましたが、Tバックをカッコよくはくためにアンダーヘアを「ゼロ」にするのですね。

 ちなみに、生理の際、近年はナプキンよりも「月経カップ」がよく使われていることも、これと関係しています。こうやって見てみると、【お尻のラインを気にする⇒Tバックを履く⇒アンダーヘア・ゼロ状態⇒月経カップを使用】という方程式が見えてきます。

男性もアンダーヘアの処理で、ツルツルに?

 「アンダーヘア・ゼロ状態」にするのは、女性に限った話ではありません。女性のアンダーヘア・ゼロが流行り始めてしばらくして、男性も脱毛するようになりました。以前、サッカーの香川真司選手が欧州のあるクラブに所属していた際、日本のメディアに「欧州の選手に合わせて、自分もアンダーヘアを全面っている」と言って話題になったことがあります。

 汗をかくスポーツ選手はもちろん、一般の男性もアンダーヘアを処理することが多くなってきていますが、「スッキリするから」「便利だから」「衛生的だから」「恋人とおそろいにしたい(恋人もアンダーヘア・ゼロ状態)」など、いろんな理由があるようです。ただ、欧州でそのような状態になった日本人男性が、帰国して虫垂炎の手術を受ける際に、病院関係者に大変驚かれて恥ずかしかった、という話も聞きました。たしかに日本では、あまり一般的ではありませんものね。

脱毛技術が進んでいる日本

 さて、日本で本当に驚くのは、脱毛の技術が進んでいること。専門のクリニックで、医療用レーザーで永久脱毛の施術を受ける女性も多いですよね。

 夏に腕や足、ワキなどに「毛がない」状態になるよう、冬の間に脱毛するという「パーフェクトな計画」を立てている日本人女性が多い印象です。日焼けした肌にレーザーは使えないという事情もあるようです。かくいう私も、今まだ夏真っ盛りなのに、秋に受ける脱毛の予約をもう入れてしまいました。来年の夏には、腕に毛はないはずです。

 ヨーロッパはというと、医療用レーザーなどを使った永久脱毛は日本よりも値段が高く、まだまだ主流ではありません。前述のブラジリアンワックスによる脱毛や剃毛ていもう、脱毛クリームなどが主流なのです。そのため、日本で見られるような「計画性」はあまりありません。ちなみにワックスに関しては、自分で器用にやる人もいれば、エステでやってもらう人も。

 いろいろ書きましたが、ひとつ言えるのは、アンダーヘアやワキ毛に対する常識は、国や文化圏によってだいぶ感覚が違うということです。……私ですか? 私もアンダーヘア・ゼロを考えましたが、日本の温泉巡りが好きなので、あきらめました。地方の温泉に行くと、そうでなくても目立つのに、さらにそんなところで目立ってしまうのは、何としても避けたいな、と思ったからです。

 でも、こうやって考えてみると、アンダーヘアって、どこの国でも、結局は「人の目」がモノをいうのかもしれません。ヘアをそのままにするのも、処理をするのも、「自分の好きなように」が基本のはずなのですけれど、実際には人の目が気になる、という現実。本当は、しょせん「毛」なので好きなようにしたらいいのですけどね。

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サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト。

 ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオ共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(ともに流水りんこ共著/KKベストセラーズ)など。
 「ハーフを考えよう!」http://half-sandra.com/