「大豆ミート」でおいしく健康

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 大豆や豆乳を、肉やチーズ、生クリームそっくりに加工した食材を使う飲食店が増え、人気が高まっている。意外性を楽しみながら肩ひじ張らずに、植物性の健康的な食を味わえる点が受け入れられているようだ。

繊維まで肉そっくりの驚き

 ハンバーグにから揚げ、ギョーザ――。東京・自由が丘の料理店「T’sレストラン」のメニューには一見、肉料理が並ぶが、使っているのは肉ではなく、「大豆ミート」という食材だ。大豆の加工品で、湯で戻して味付けをし、肉のように仕上げているという。

 週に1、2回通う常連客(43)が食べていたから揚げは、中の繊維まで鶏肉そっくり。「食べても、体が軽い感じがある。それでいて満足感が得られ、夫や子どもも喜んで食べている」と話す。

大豆ミートで作ったから揚げ(東京・自由が丘の「T’sレストラン」で)

 同店は2009年のオープンから、肉や魚、卵など動物性の食材を使わない料理を提供している。マヨネーズも卵を使わず、植物性素材にこだわった手作りだ。「大豆ミートのハンバーグ」(1600円税込み)など。オーナーの下川万左子まさこさんは「開店当初は、あまり注目されませんでしたが、健康意識の高まりで、次第に受け入れられてきました」と話す。

 肉などを食べないベジタリアン向けの飲食店などの情報サイト「ベジウェル」には現在、全国で約1300店舗が登録されている。16年11月の開設時から1・5倍に増えた。大豆ミートは植物性でありながら、食べ応えがあると好評で、メニューに取り入れる店は増えているという。

 運営会社社長の播太樹はりたいきさんは、「サプリメントを取るような『足し算の健康志向』ではなく、最近は、体に合わない肉を控えるなど、『引き算の健康志向』が消費者の間で増えている」と指摘する。

ソイ(大豆)イタリアン

 加工技術が進んで大豆由来の食材が増え、料理の幅も広がっている。

 不二製油グループ本社(大阪市)は、大豆を低脂肪豆乳と豆乳クリームに分離する製法を開発。低脂肪豆乳は発酵させてチーズ風に、豆乳クリームは生クリーム風にして販売している。飲食店からの問い合わせが年々増え、現在、イタリア料理店約200店が使う。出荷量は13年度の4倍以上に拡大した。

 横浜市のイタリア料理店「マルコ102」も昨年10月から、不二製油のチーズや生クリームを使い、カルボナーラやティラミスなどを提供している。オーナーシェフのマルコ・パオロ・モリナーリさんは、「女性を中心に人気です。驚きのある料理を提供したい」と話す。英語で大豆を意味する「ソイ」と「イタリアン」をかけて、「ソイタリアン」と称している。

豆乳由来の生クリームとチーズで作ったカルボナーラ(横浜市の「マルコ102」で)

 生活文化ジャーナリストの加藤裕子さんは、「大豆由来の食材を使ったメニューは、宗教上の理由などで肉を食べられない外国人観光客にも人気で、メニューは年々、増えている。今後、ますます注目を集めるのではないか」と話す。

家庭でも手軽に調理

 大豆ミートはスーパーや自然食品を扱う店などで販売が増えており、家庭でも調理して楽しめる。

 乾燥タイプが一般的だ。ミンチやブロック、フィレなどのタイプが売られている。湯戻しすると、重さは3倍ほどになり、通常の肉と同じように使える。ミンチはミートソースに、ブロックはから揚げに、フィレはホイコーローにといった具合だ。

 大豆ミート料理研究家の坂東万有子さんによると、湯を沸かした鍋に大豆ミートを入れ、弱火で5分ほど加熱する。湯戻ししたら、ザルに上げて余分な水分を絞る。料理に合わせてしょうゆなどをもみ込み、下味を付ける。

 大豆の風味が気になる場合は、下味を付ける前に2~3回、水でもみ洗いをすると風味が抜ける。「大豆の風味が好きなら、もみ洗いをせず下味を付けなくても、おいしく食べられます」と坂東さん。お薦めは、ナスの冷やしそぼろあんかけだ。

 湯戻しが面倒だという人には、レトルトが便利だ。大豆ミートだけが入ったもののほか、調味料なども入った総菜タイプもある。

 みそメーカー、マルコメ(長野市)は、ラタトゥイユなどが作れる「惣菜そうざいもと」を販売。食品メーカー、かるなぁ(名古屋市)も豆腐を合わせるだけでマーボー豆腐などが作れる「レトルトシリーズ」を出している。

 ナスの冷やしそぼろあんかけ(4人分)

 【作り方】

《1》乱切りにしたナス4本分を素揚げにし、冷蔵庫で冷ます。

《2》大豆ミート(ミンチタイプ)30gを湯戻しして、だし汁100ccと鍋に入れる。薄口しょうゆ、みりん、酒各大さじ2杯、砂糖小さじ2杯を加えて、ひと煮立ちさせ、水溶き片栗粉でとろみを付ける。冷蔵庫で冷ます。

《3》皿にナスを盛ってダイコンおろしをのせ、〈2〉をかける。刻んだ大葉をのせる。

(読売新聞生活部 米山裕之)