職場で妊婦への配慮どこまで? 短縮勤務や管理職向け研修も

妊娠期の働き方

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 妊娠中の従業員に、どこまで配慮をすればよいのか。戸惑う関係者は少なくない。管理職向けに研修を行う企業も出てきた。

管理職向け研修・短縮勤務を導入

 都内の団体職員の男性(32)は「妊娠中に働くことが、これほどきつい人もいるなんて」とショックを受けたという。2016年、妊娠中の妻(32)が仕事を2週間も休んだからだ。

 男性の妻はフルタイムで働く看護師。妊娠が分かった当初から、吐き気や不眠に悩まされていた。それでも、男性は、「当時は、『妊娠は病気じゃない』って思い込んでいた。半日休めれば十分かなと」と振り返る。妻の職場も同様の反応で、「午前中だけ休んでは」と提案したという。

 しかし、妻の体調は悪くなる一方。「仕事ができる状態ではなかった」と、妻は明かす。病院に駆け込むと、医師から「まとめて休まないと、悪化してしまう」と休養を促されたという。

 男性自身は別の勤務先で、労務管理を担当している。出産や子育てについてある程度事情を知る仕事をしていたつもりだったが、「職場で妊娠する人が出たらうまく対応できるか。とても不安」と話す。

 同じような声は、ほかの企業からも上がっている。

 企業の人事労務部門に助言しているNPO法人アローアロー(東京)には最近、妊娠中の社員への対応について相談が相次ぐ。代表の堀江由香里さんは「おなかが大きくなる前は見た目も分かりにくいこともあり、声のかけ方などに困るケースが多い」という。

 独自の対策を進める企業も出てきた。

佐川急便では、2013年から妊娠した女性従業員に「おなかに赤ちゃんがいます」と書かれたバッジを配布している(都内の佐川急便営業所で)

 佐川急便は12年から管理職向け研修を始めた。女性従業員の採用が増え始めたためで、妊娠した女性の体調変化を学んでもらう。声がけについては、最初に笑顔で、「おめでとう。良かったね」と伝え、「仕事はどうするの」などと先々のことを問いつめないよう指導する。

 出産後も辞めない例が増え、12年度から17年度にかけて女性従業員の割合が1・65倍の26%にまで増えた。

 このほか、三井住友海上火災保険は07年から、妊娠中の従業員が体調の悪い時に安心して休めるよう、妊娠5か月以上の社員がいる部署に代替要員を補充する。大手人材サービス会社のパソナグループは、妊娠中から週20時間までの短縮勤務が可能だ。

 ただ、こうした取り組みはまだ少ない。

 働く女性が多く、妊娠期の働き方問題に取り組んでいる日本看護協会の熊谷雅美常任理事は、「連続勤務を避けたり、疲れをためさせないようにしたり、周囲がサポートするとともに、本人が状況をしっかり伝えることも重要。そうすれば、切迫流産のような深刻な事態はある程度避けられる」と話している。

妊娠中の従業員への接し方
 (アローアロー代表、堀江由香里さんの話をもとに作成)
 1 祝福の気持ちを伝える
 2 会社の制度や、社内の相談先を伝える
 3 働き続けたいと感じるような言葉をかける

残業免除など雇用主に義務、従業員も申し出が必要

 妊娠中の従業員を守るため、雇用主には、労働基準法や男女雇用機会均等法で様々な措置が義務づけられている。

 ただ、妊娠期の体調については個人差が大きい。このため、医師の指示を受けるなどして、従業員が対応を申し出ることが必要だ。

 厚生労働省雇用機会均等課は「雇用主側は、従業員がどんな配慮をしてほしいのかを言い出しやすい雰囲気を作ることが大事。女性従業員側も、どんな制度があるのか正しく知っておくことも必要」と強調している。(大広悠子)

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