妊婦の体調管理どうする? 過酷な労働で流産の危険

妊娠期の働き方

 女性活躍を進めるには、妊娠期の働き方改革も欠かせない。残業などは体調不良の一因と考えられているが、当事者の悩みは理解されづらい。2回にわたって「妊娠期の働き方」を考える。まずは、切実な声に耳を傾けた。

「安静に」診断それでも出社

 「どうしよう」。埼玉県の女性会社員(26)は2015年11月、駆け込んだ職場のトイレで、下着が真っ赤に染まっているのを見て青ざめた。妊娠4か月のこと。病院へ行くと、医師に「このままでは流産する」と安静を命じられた。

 女性はそのまま1か月間、休職した。その後復職したが、また出血した。再び切迫流産と診断され、出産まで約4か月、着替えや入浴を控え、寝たきりの生活を強いられた。

 女性は技術系の正社員。納期に追われる仕事で、残業が当たり前の職場。上司は、「大丈夫?」「無理はしないで」と気遣ってくれたが、仕事の量は妊娠前とほとんど変わらなかった。

出血が続き「切迫流産」と診断された女性は、休業を余儀なくされた(画像を一部修整しています)

 疲れやすい、めまいがするなど不調はあった。しかし、繁忙期と重なり周囲はピリピリ。女性の先輩に「私は出産直前までばりばり働いた。病気じゃないんだし」と言われ、「何も言えなかった」。「いつもおなかが張っていて、あれっと思ったら出血していた。すごく怖かった」と振り返る。

 妊娠期の働き方を後悔している人もいる。

「産みどき」に働いている女性は7割以上にも

 都内の会社員(30)は2年前、初めての子どもを流産した。医師から「安静」の指示を受けて、自宅で休んでいたが、自分にしか分からない業務が多く、ひっきりなしに問い合わせの電話がかかってきた。

 「仕事を引き継がないと休めないと思った。心音も確認できたし、大丈夫かなと出社した。あの頃は、妊娠すれば誰もが無事に出産できると思っていた」と振り返る。まもなく、流産がわかった。理由ははっきり分からないが、仕事を優先した自分を責める気持ちは消えない。

 離職を考えた人もいる。

 昨年出産した都内の小学校教諭(41)は、安定期に入る前から、冷たいプールに入って授業をした。運動会の準備で重い荷物を運んだり、遠足の下見で長時間歩き回ったりして、体調を崩し、一時、寝込んだ。  今は別の学校で働く女性は言う。

 「母子ともに過酷な労働環境に耐えられないと、出産までたどり着くことも難しいのかも」

妊娠中のトラブル、経過が順調なのは4人に1人

 働く女性が増える中、妊娠期の体調不良は、女性の目立つ職場で問題視され始めている。

 日本教職員組合が2017年に実施した実態調査によると、15年以降に妊娠・出産した50歳未満の教職員1890人のうち、53.1%が切迫早産など「妊娠中のトラブルがあった」と回答した。日本医療労働組合連合会が17年に、14年以降に妊娠した看護師約5000人に行った調査でも、経過が順調だったのは、4人に1人だった。

 ただ、仕事の有無で、どれぐらいリスクが高まるかを示す調査はまだ乏しい。

 働く妊婦を長く診てきた母子愛育会総合母子保健センター(東京)の中林正雄所長は、「長時間労働や職場のストレスなどは母子双方に悪影響。働く女性が産みやすい対策を考えるためにも、詳しい実態調査が必要だ」と話している。(大広悠子)

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