指先に乗る小さなシアワセ ミニチュアアートの世界

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 食べ物や雑貨、植物など身近なものを題材に、かわいらしくて精巧なミニチュアを制作するアーティスト田中智さんの初の個展「Face to Face もっとそばに」が、ポーラ ミュージアム アネックス(東京・銀座)で開催されています。

ジャムのツブツブや瓶の透明感もリアル

 真っ赤なイチゴやイチジクがたっぷりのフルーツタルト、宝石のような瓶詰のジャム、焼き立てのパン。ホンモノに見えますが、すべて12分の1サイズのミニチュアアート! ジャムの瓶を指先に乗せると、その小ささが実感できます。

小さな小さな瓶詰のジャム。フルーツのツブツブ感もリアル
焼き立てパンのおいしそうな香りまで感じます。フランスパンの長さは4センチくらい

 じっと目を凝らすと、瓶には透明感があり、光が屈折して輝く様子までが表現されています。ふたを開けることもできて、ジャムの果実のツブツブまで再現されているリアル!

トラック運転手から独立してアーティストに

 田中さんがミニチュアを作り始めたのは、フリーマーケットでミニチュアの家具を手に入れたことがきっかけ。家具に合わせた小物を作りたいと思い立ち、インターネットなどで調べて、素材や作り方を研究したそうです。

 「学生時代から水彩画を描いていました。実物を見ながら、そっくりに描きあげる達成感が好きだったんです。平面と立体の差はありますが、ミニチュア作りにも通じると思います」と田中さん。

スニーカーの色に合わせた箱まで制作するこだわりよう。ちゃんとラベルも貼られています

 昼間はトラックの運転手として働き、夜はミニチュア作りに励んだそうです。10年ほどして、学研に企画書を出し、ミニチュア本を出版。出版を機に作家として独立し、現在はミニチュア教室で、生徒さんに教えています。

素材や題材、独学で研究

 「生徒さんはほとんど女性なので、雑誌やネットでどういうアイテムがはやっているのか、調べたり勉強したり。すべて素材作りから考えます」と田中さん。

みずみずしいフルーツがおいしそう! モンブランのクリームもホンモノそっくり。とても作り物には見えません

 例えば、ジャムの瓶は、透明感を出すために、ペットボトルと同じ素材を加工したもの。米粒など同じ形のものをたくさん作るときは、原型を作成して複製するといいます。
 
 「でも、次に同じものを作るときに、前の原型を引っ張り出して使うことはしません。毎回、技術があがりますから、自分の成長に合わせて原型も作り直します」

ミニチュア作家の田中智さん
品ぞろえ豊富なセレクトショップ。トランクやバッグの精巧な細工に注目。作り上げるのに、1年半かかったそう

 お気に入りの雑貨ショップや大好きなスイーツが並ぶショーウインドー、いつもコーヒーを飲むカフェ――。田中さんの作るミニチュアは、身の回りにある、おいしそうなものや、きれいなものが再現されています。小さな小さな世界をじっと見ているだけでワクワクして楽しくなってきます。見る人の「共感」を大切に表現しているという、田中さんのミニチュアワールドは「ポーラ ミュージアム アネックス」で27日まで。

カントリー風キッチンは、よく見るとレンジに火がついてます。プランターの植物の葉も一枚一枚再現。なんと細やかな仕事でしょう!

田中智 ミニチュアワールド「Face to Face もっとそばに」
会期:2018年4月27日(金)~5月27日(日)※会期中無休、入場無料
開館時間:11:00~20:00(入場は19:30まで)
会場:ポーラ ミュージアム アネックス
住所:東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
アクセス:東京メトロ 銀座一丁目駅7番出口すぐ

http://www.po-holdings.co.jp/m-annex/

田中 智(たなか・とも)
ミニチュアアーティスト

 食べ物や雑貨、植物など身近にあるものを題材にミニチュアを制作。こだわりを持ちながらも独創的になりすぎず、見る人の目線を大切にし、共感してもらえるものづくりを心がけている。「nunu’s house」というブランド名で活躍中。大阪市在住。著書に『田中智のミニチュアワーク』『田中智のミニチュアコレクション』『田中智のミニチュアスタイル』(学研プラス刊)がある。

nunu’s house