SNSで友情は変わった? ゆるくつながる悩みとは……

サンドラがみる女の生き方

 みなさんSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をどう使っていますか? 私はSNSデビューこそ遅かったものの、周りの友達に促されるようにして始めて、今ではヘビーユーザーです。主に情報発信のために使っていますが、今さらながら感じるのは、SNSを使い始めてから「友達との付き合い方」が変わったということです。

「一対一」の付き合いからの変化

 かつて友達に連絡をとる時は「●●さん、お元気?私は最近こんな感じです。近くに来るときは連絡してね。また遊びましょう」などとメールを送っていて、相手からも定期的に近況報告が届いていました。SNSを使うようになってからは、個人的なメールをあまり送らなくなったような気がします。

 もちろんSNSでも送ろうと思えば個人宛てにメッセージは送れるのですが、なんとなく「個人」ではなく、友達や知り合い全員に「まとめて」発信するようになってしまいました。「しまいました」というのは、全員に情報発信をし、時にはコメントのやりとりをするものの、「一対一」の従来型のコミュニケーションに比べてなんとなく付き合いが「広く浅く」なった気がするからです。

 SNSでは個別にメッセージを送らなくても、なんとなく相手の動向がわかります。そして全員と「ゆるくつながっている」安心感があるためか、どうしても「一対一でじっくり付き合う」形からは少し遠ざかっている気がします。

SNSで「立場の違い」が浮き彫りに

 SNSの普及で、かつてのサークルや趣味の仲間、昔の会社の同僚など、「過去に仲良くしていた人たち」と再びつながることも多くなってきました。そこがSNSの良いところでもありますが、その過程で「昔の仲間たちが知っている過去の自分」と「今の自分」の違いが浮き彫りになるのもSNSなのでした。

 たとえば、私はかつて日本の美容関係の会社に勤めていましたが、今は美容とはあまり関係のない分野でさまざまな活動をしています。その時代の同僚や友達は、当然「サラリーマンだった頃の自分」しか知りませんが、SNSでの再会後は画面を通して自分の「今の新しい顔」をかつての同僚に知られることになります。

 これが「今こんな活動をしているんだな」とポジティブに受け止められることもあれば、逆に「あれ? こんな人だったっけ…?」と違和感を持たれてしまうこともあるでしょう。かつての仲間を戸惑わせていないか、ちょっぴり気になっていたりもします。

 これはSNSがなかった時代には、それこそなかった悩みです。「今の自分がどうしているか」は、自ら進んで相手に言うか、メールを送るかしないかぎり、かつての仲間に伝わることはあまりありません。現にそのほうが気楽だという声もあり、そういった理由からSNSをしない人もいます。

 人と人のつながりを考えるとき、「その人と最初に出会った頃」のイメージや印象がどうしても強くなります。そのため、何年か後にSNSで再会をしたときにその人の印象が180度異なると、かつての仲間は戸惑うかもしれません。

実名?匿名?SNSの活用

 SNSにお国柄を感じることもあります。欧米の場合、人にもよりますが、実名でSNSをしたり、パートナーとの写真をアップしたりすることにあまり抵抗がない印象。人によっては、Facebookのプロフィルに過去から現在まで働いてきた職場を履歴書のように全部挙げている人もいたりします。

 あるドイツの雑誌は新しい記事が出るたびにFacebookにアップしていて、そこのコメント欄に実名で多くの人が意見を残しているので、中々興味深い議論に発展していたりします。普段の生活でも活発に「議論」しているので、SNS上の議論ややりとりもまさに生活の延長線にあるといった感じです。

 もちろん、日本で実名に抵抗がない人も多いのですが、傾向として「SNSやネット上での議論は、本名よりもニックネームや匿名でやりたい」人も多いような印象です。

意外とむずかしい「言葉分け」

 色んな国の友達がいる場合は、SNSで「どの言語で発信するのか」も悩むところです。たとえば私のSNSには「日本語の分からないドイツ語圏の友達」がいますが、筆者の生活基盤は日本だということもあり日本語でしか発信しておらず、日本語が分からないドイツ語圏の友達にはどう思われているのだろう……と申し訳なく思うことがあります。本当は「グループ分け」をし、「日本語で発信するグループ」と「ドイツ語で発信するグループ」に分ければよいのですが、そうなると、わざわざ二つのグループのために異なる言語で随時発信をしなければならない、という妙なプレッシャーが生まれ、仕事でもないのにわざわざそんなことをする必要があるのか……などと悩みます。SNSがときに悩みの原因になるのでした。

それでもやっぱりSNSが好き

 色々書いてしまいましたが、それでも私にとってSNSはありがたいものです。もしかしたら、SNSのなかった時代を知っているからこそ、そう思うのかもしれません。昔は、たとえば同窓会の際に、全員の住所や電話番号、メールアドレスなどが分からなければ、電話帳で調べたり、「104」で連絡先を探ったりもしましたが、今の感覚でいうとそれはなかなか大変な作業です。

 今はネットに名前を入れただけでSNSのプロフィルが出てくることも珍しくありません。電話番号をなくした、とか、住所を書いたメモを紛失した、といったこととも今の時代は無縁で、SNSで「ゆるくつながる」ことができます。

 SNSの登場により人間関係に「深さ」が失われつつあることにちょっぴり寂しさは残りますが、もしかしたら私も含め、忙しい現代人には「ゆるくつながる」ぐらいがちょうどいいのかもしれません。

サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト

 ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオ共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(ともに流水りんこ共著/KKベストセラーズ)など。
「ハーフを考えよう!」http://half-sandra.com/