数年前から「女子会」という言葉をよく聞くようになりました。女友達同士で集まり、近況報告をしたり、ときには悩みを相談したり、という会は前からありましたが、「女子会」という名前がついたことで、女性同士の付き合いが、より市民権を得た気がします。
さて、私の母国ドイツはというと、女子会を意味する「Weiberabend」には「女性の人生に何かショックなことが起きた時に行われる、何年かに1度のイベント」といった感じがあり、日本でいう女子会とは少し違ったニュアンスです。もちろんドイツにも女性同士の付き合いはありますが、「女性がたくさん集まってワイワイ」というよりは、女友達と「1対1」での付き合いをしている人が多い印象。でも、女友達との近さや距離、つまりは関係性が人生の節目、節目で変わるのは日本と同じです。
女子会に男が参加する「家族ぐるみ」の付き合い
日本では、独身の時だけではなく結婚後にも女子会を楽しむこともありますが、ドイツの場合は、恋人や夫ができると、女友達とは「家族ぐるみの付き合い」(パートナーぐるみ)になることも多いのです。今まで女友達とは「1対1」で会っていたのが、今度はパートナーも含めての付き合いになるというわけです。
理想とされているのは、お互いにパートナーを持ち、ダブルデートのようにカップル同士でバーベーキューをしたり、旅行をしたり、という関係ですが、同時期にパートナーがいるとは限りません。そのため、時に「夫婦+奥さんの女友達」の3人で行動する場合もあります。
日本人女性と結婚しているドイツ人男性が、妻が「女友達のBさんと食事してくるね」と言うと、「僕も参加したい!」と言い、時に妻に嫌がられるという事例もあったりします。まあここは「『女同士での付き合いは女同士の付き合い』として、異性のパートナーはその付き合いに巻き込まない」のが常識の日本 VS 「パートナーや配偶者ができたら、お互いの友達に関しては家族ぐるみで付き合う」のが主流のドイツという文化の違いがあらわになった形です。
女の友情は「同じタイミングでお互いに共感し合えるか」
恋人や配偶者ができると、友達との付き合いもそのパートナーを含めたものとなり、子どもができたら子どもも含む家族ぐるみのお付き合いになるのが、欧米では一般的です。ただ、当たり前ですが、子どもを持たない女性もいますし、そもそも結婚するタイミングやパートナーができるタイミングに関しても、「人それぞれ」です。
友達同士のライフステージが変化することで、共通の話題が少なくなったり、相手の話に興味が持てなくなったりすると、女友達と疎遠になりがちなのは、残念ながらヨーロッパも日本も同じかもしれません。
友情は実際のところ「同じタイミングでお互いに共感し合えるか」が大切なように思います。なので【恋愛・結婚・出産】という3項目において、タイミングがずれたり、人生観の違いから別の道を歩んだりすると、共感度が薄れがちになり、気がついたら疎遠になることもあるのが女性同士の付き合いの難しさなのかもしれません。
離れた場所に住む友人との交流
心理的な距離だけでなく、地理的に距離が離れてしまうと、関係性も必然的に変わってきます。今まで日本人や欧米人のステキな女友達とたくさん出会ってきましたが、日本の友達のほうが、メールやSNS、そして時に手紙も含めて、筆まめな人が多いです(もちろん人によりますが)。そもそもお互いに東京都内に住んでいても、仕事が忙しい人も多いので「会えなくても、季節ごとに近況報告をしたりして、友人関係を大事にする」ことが元より身についているのかもしれません。
ドイツなど欧米の場合は、ある意味ドライで、地理的に遠い所に引っ越ししてしまうと、SNSやメールでの連絡も途絶えがちな印象です。恋愛に関しても似たようなところがあり、「頻繁に会えること」を重要視している欧米人には時に「長期にわたる遠距離恋愛」は難しく、日本人の方が遠距離恋愛は得意というと語弊がありますけど、会えないなら会えないなりのコミュニケーションが上手な印象。これはドイツには単身赴任がほとんどないのに対し、日本には単身赴任が残っていることも一因かもしれません。