やりたいことを形にした起業家4人の刺激的なエレベーターピッチ

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壇上でポーズを取る(左から)中山さん、加藤さん、塩崎さん、木村さん=東京都渋谷区のTRUNK(HOTEL)で

 エレベーターピッチって知っていますか? エレベーターに乗り合わせた時ほどの短い時間で、投資家や社長などの有力者に自分のプランを売り込む手法です。先月、東京で開催されたダイバーシティーイベント「MASHING UP」で、女性起業家ばかりのエレベーターピッチ大会が開かれました。

 参加したのは、女性のためのキャリアスクール「SHElikes(シーライクス)」を展開するSHEの中山紗彩さん、日本全国の祭りを盛り上げる専門会社「オマツリジャパン」を運営する加藤優子さん、ケア・介護用品ファッションブランド「TOKIMEKU JAPAN」の塩崎良子さん、人事AIプラットフォーム「LEAD FOR CAREER」の木村アリサ祐美さんの4人。4分の時間制限の中で、7人の審査員を前にビジネスプランを発表しました。

乳がん患者の思いをブランドに

 優勝に輝いたのは、自らの乳がん体験をもとに、ケア用品のブランド「KISS MY LIFE」を作った塩崎さん。現在37歳の塩崎さんは、アパレルショップを経営していましたが、33歳で乳がんと診断されました。闘病に専念するために会社をしめて入院した時に、病棟や病室に色がなく、自分が身につけたいものもなくて、気持ちが沈んだと言います。

 「人生があとわずかしかないとしたら、最期まで自分らしく生きたい」。患者になって実感した思いを胸に、患者や病院関係者らみんなが「トキメク」デザインのケア・介護用品を作る「TOKIMEKU JAPAN」を2016年に設立。商品企画やデザインを塩崎さんが担当しています。

壇上で思いを語る塩崎さん

 最初に作ったのは、抗がん剤治療で髪が抜けた時にかぶる帽子。ピンクのキュートなスカーフを巻いたような形で、フワッとかぶれて小顔効果が高く、サイズ調節も簡単なデザインにしました。「それまでの商品は、私から見れば実用品で、価格も高かった。患者としての自分が困ったことをもとにデザインしたんです」と塩崎さん。

 「私の生き方に共感するなら協力を」と病院に商品と自分を売り込んで、17年7月には初の店舗を病院内に開店。今では東大病院など7か所に商品を納めています。塩崎さんは「販売を考えればオンラインだけの店舗でもいいかもしれませんが、きちんとしたストーリーをじかに伝えたいから、あえて病院内に展開して、売り場も自分たちで作っています」。将来を見据えた戦略と説得力のあるピッチで優勝に選ばれました。

お祭りやレッスン、ユニークな視点でチャンスをつかむ

 優勝は逃したものの、ほかのビジネスも個性的。SHELikesは、デザインや広報、ブランディングなど、約25のスキルアップレッスンの中から、目指すキャリアに適したものを自分で選んで受講することが出来るスクールです。社長の中山さんは、リクルートから独立して、26歳で起業。人生100年時代を迎え、「自分にしかない価値を発揮したい」「好きなことをして熱狂的に生きる世の中を作りたい」と思う人が増えると考えたそう。20代の女性たちに口コミで広まり、去年10月のオープンからのべ1800人が参加するなど人気を集めています。

 はっぴ姿で壇上に上った加藤さんは、全国各地で高齢化や人手不足で祭りが開催できなくなっている現状を知り、祭りの魅力を伝えて盛り上げるプロデュース会社を約2年前に設立。全国各地のお祭りを検索できるウェブサイトを作り、ボランティアの力も借りながら、祭りの新たな魅力を発信し続けています。シリコンバレーからやってきた木村さんは、ダイバーシティーの観点から社員教育が行えるツールを紹介しました。

 いずれの女性も自分の体験を情熱的に訴え、短い時間で個性を凝縮したプレゼンを行っていました。ユニークでパワフルな女性起業家が増え、それを応援する人が増えれば、日本の未来がもっと楽しくなるかもしれません。(大森亜紀)