地方でキャリアアップ、企業間で連携

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 地方での女性活躍を進めるため、企業間で連携を深める動きが広がっている。「ロールモデル」(キャリアを築く上で手本となる人)が都市部と比べて少ないなど、地方ならではの課題に協力して取り組むのが狙いだ。

 「年上の男性部下とうまく接するには」「消極的な部下の意欲を引き出したい」――。2月上旬、東京都内で開かれた「女性リーダー層交流会」には、全国の地銀など49の金融機関から支店長などを務める女性91人が集まった。グループに分かれ、職場が抱える問題や解決策について議論した。

青森銀行の小沢さん(中央)ら地方銀行の女性支店長らが集まり、交流を深めた(東京都港区で)

 参加した青森銀行県庁支店長の小沢真希子さん(49)は「若い行員の教育など、同じ女性支店長と相談したいときもあるが、なかなか機会がない。褒め方など具体的な事例が参考になった」と話す。

 地方で働く女性管理職にとって課題とされるのは、ロールモデルが少なく、職場を運営管理する上での問題点やキャリアの悩みについて、相談する機会も限られる点だ。

 今回の交流会は、生保大手「第一生命ホールディングス」(東京都)傘下の「第一フロンティア生命保険」(同)が初めて開いた。保険商品の窓口販売を通じて地方の金融機関と取引のある同社は昨年から、同社と地銀や信用金庫などの女性社員同士が意見交換する場を設けるなど、女性活躍を後押しする動きを進める。同社社長の川島貴志さんは「参加者にとって、全国に応援団、相談相手ができる機会になれば」と期待を寄せ、今後も継続する意向だ。

 異業種の企業間で連携する動きもある。

 和歌山県では昨年10月、「女性活躍企業同盟」が発足した。151の県内企業、団体(2月末時点)が参加し、セミナーなどを行っている。事務局を務める県青少年・男女共同参画課は「県内でも地域ごと、業種ごとに差が大きい。優れた取り組みやノウハウを業種を超えて共有するのが狙い」と語る。

和歌山市で2月に開かれた「女性活躍企業同盟」参加企業向けのセミナー。若手の女性社員が仕事を続ける上での目標などを話し合った

 例えば、電子部品メーカー「太洋工業」(和歌山市)は、2010年に結成された女性社員によるチームが、女性の働きやすい環境整備について提言。柔軟な短時間勤務制度の導入などを進めてきた。こうした事例も紹介している。

 地方の女性が働き続けられるよう、都道府県をまたいで連携する試みも。

 15年4月にスタートした「地銀人材バンク」は、結婚や配偶者の転勤などに伴い、勤務していた地銀を退職せざるを得ない場合、従来の勤務先を経由して、転居先の地銀を紹介してもらえる仕組みだ。事務局の千葉銀行によると、男女とも利用できるが、利用者はほぼ女性で、今年1月末時点でのべ125人の女性が転居先で採用された。

 女性リーダーの育成などを手がけるNPO法人「J―Win」(東京都)理事長の内永ゆか子さんは「親らが近くに住んでいて家事や育児の支援を得やすいなど、女性が働き続けられる環境が地方にはある。企業の理解が深まれば、地方での女性活躍はより進むのでは」と話す。

「お手本」紹介のNPOも

 地方で働く女性を支援するため、NPOも独自の取り組みを進める。

 NPO法人「男女共同参画フォーラムしずおか」(静岡市)が運営する静岡市女性会館は、働く女性の相談相手となる「メンター」をデータベース化した「Jo―Shizu(じょしず)メンターバンク」を設けている。

 会社員、公務員、起業家など幅広い立場の女性約130人をメンターとして登録。利用者は、専用サイトに会員登録するとメンターの経歴などを見て相談相手を選ぶことができる。「手本となる女性が身近にいないとの声が多かった。ロールモデルとなる女性を紹介することで、キャリアの継続に役立ててもらうのが狙い」(同NPO)だ。

 NPO法人「ワークライフ・コラボ」(松山市)は、子育てをしながら働いている女性や、これから仕事と子育てを両立させようという女性らを対象に、定期的にランチ交流会を開催。業種や雇用の形態を超えたネットワーク作りを後押ししている。(大郷秀爾)