「いつも」の習慣が身を守る「東京くらし防災」に込めた思い

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 東京都発行の防災ブック「東京くらし防災」が3月1日に発刊されました。「包丁を出しっぱなしにしない」「カーテンは閉めて寝る」など、災害時に命を守る日頃のちょっとした心がけが具体的に紹介されています。冊子を作った狙いを小池百合子東京都知事らに聞きました。

「音声コードを掲載して、障害をお持ちの方にも使いやすいようにしてあります」と話す小池知事

 阪神・淡路大震災を経験し、東日本大震災の支援に携わった小池知事は、「災害はいつ、どこで何が起こるかわからず、被災して初めて気づくことも多い。過去の災害を踏まえた女性たちの知恵を持ち寄って、日頃から備えておいた方がいいことを冊子にまとめました」と話します。

  ピンクの表紙の「東京くらし防災」は、女性6人による編集・検討委員会(委員長 池上三喜子・市民防災研究所理事)が作成に協力。「女性視点」で暮らしの中でできる取り組みをイラストやキャラクターを使ってわかりやすくまとめています。東京都では、黄表紙の冊子「東京防災」を全戸に配布していますが、今回の「東京くらし防災」は、街の大手量販店やネイルサロン、美容院などに配布されます。

 池上委員長によると、表紙にイラストをあしらい、「わたしの『いつも』が、いのちを救う」と書いたのは、「防災のハードルを低くしたい」という思いから。「『いつか』起こるという気持ちはあっても、何をしたらいいかわからなかったり、難しそうと思って先延ばしにしてしまったり。でも、普段のちょっとした心がけ自体が防災になるんです」と話します。

 例えば、使わない包丁を片付けたり、外出先で非常口を確認しておいたりするだけでも、災害時には命を守る備えになります。冊子では、そんなノウハウを「いますぐできる!15のこと」とまとめてあります。

いますぐできる!15のこと(「東京くらし防災」より)
 1:外出先では非常口を確認
 2:カーテンは閉めて寝る
 3:食器の重ね方を変えてみる
 4:包丁は使ったらすぐしまう
 5:寝転んで危険を探してみる
 6:日用品は多めに買い置きする
 7:行けるときにトイレはすませておく
 8:生理用品はもう1周期分買っておく
 9:災害時の集合場所を決めておく
 10:公衆電話の使い方を子供に教えておく
 11:地域の行事に参加してみる
 12:災害時のペットの預け先を探しておく
 13:ママバッグは使った分だけ足しておく
 14:チョコレートやキャラメルをカバンに入れておく
 15:「東京くらし防災」を読んでみる

 生活必需品を多めに買うことも防災の一つ。小池知事自身、自宅には懐中電灯など防災グッズをまとめたコーナーを作り、水は多めに買っておくそう。いざ災害が起きたら、自分自身の足でも東京都庁に向かえるよう、電動自転車を充電した形で備えているそうです。

「イラスト付きで、わかりやすく見やすい。仲間にも広めたいです」と話す吉田さん

 冊子の完成を機に小池知事と対談した女子レスリングの吉田沙保里選手も、おやつも兼ねて、いつもバッグにチョコレートを入れているとか。「災害は、いつ起きるかわからず、『まさか自分に起きるなんて』と思っている人も多い。いざという時に備えるための情報は大切。もっと発信していきたいですね」と話していました。

乳児用の液体ミルクを手に「粉ミルクを作るより手軽なので、男性にも使いやすいのでは」と話す小池都知事

 冊子では、東日本大震災や熊本地震の際に役立った「液体ミルク」のことや、地域の行事に参加してつながりを作ることなども紹介しています。池上さんは「住んでいる街であいさつをして、地域の人と顔見知りになることも、災害の時の助け合いにつながります。ぜひ冊子を読んで、できることを始めてもらいたい」と話していました。

 「東京くらし防災」は、B6版164ページ。都立・区市町村立施設のほか、都内の一部店舗などで入手できます。詳細は都防災ホームページで。