「同棲」は女性にとって損なこと?

サンドラがみる女の生き方

「婚活/恋活」プレッシャーの違い

 「婚活」という言葉が一般的になるにつれ、外国の婚活事情についてよく聞かれます。私の出身国ドイツでは、現在「結婚」自体がそれほど重要視されていません。「結婚制度そのものが好きではない」という人もいますし、「人間関係を男女といえども『契約』で縛るのはいかがなものか」という考え方もあります。そんな背景もあり、ドイツにおいてはみな「婚活」をする、というよりも「恋愛活動(恋活)」をします。

 ドイツではどの年代の人も 、それこそ若い人から中年、そして高齢者まで、新聞のパートナー募集欄やインターネットを使って、恋活をしています。日本では、しばしば子ども世代の「親の恋愛は見たくない」という声も聞きますが、ドイツでは「人間、どの年代でも恋愛をしているのは普通」という共通認識があり、社会全体を通してある意味「恋愛至上主義」です。

 そのためか、ドイツでは「結婚」へのプレッシャーこそあまりないものの、「常にパートナーがいないといけない」プレッシャーは、ぶっちゃけ、日本より強いです。日本でいう「女子会」的な集まりもあまり市民権を得ておらず、旅行をするにも映画に行くにも、夜に外食をするにも「カップルでないとダメ」というような雰囲気が確かにありますので、相手がいない時には精神的にきついかもしれません。

「同棲」はアリ?ナシ?

 さて、ドイツでは恋人同士となって、付き合いが長く続くと「同棲どうせい」するカップルが多くいます。昔は、結婚という形をとらない同棲はよろしくないとされていたものの、今はカトリック教会の影響も薄れたせいか、付き合っている恋人がいたら、ゆくゆくはその人と「一緒に住む」、つまりは同棲することが自然な流れだとされており、実際に同棲している人は多いのです。

 たとえばドイツで「彼氏ができた」と友達や親に報告すると、「どんな人?」「半年ぐらい付き合っている」などという会話があった後、「まず、彼と一緒に住んでみたら?」というアドバイスを親世代からも聞くものです。一緒に住んでいないカップルは他人行儀だと見なされるため、ときに「なぜ一緒に住まないの?」「早く同棲した方がいいよ」と促されることも。

 逆に日本では「同棲」は、あまり歓迎されない印象です。私は掲示板サイト「発言小町」の「男女」(恋愛・結婚・離婚)のトピックを読むのが趣味なのですが、ここで「同棲」関連の相談があがると、賛成できないという意見も多く、日本VSヨーロッパの「感覚」の違いに改めて驚くのでした。

 ドイツ人いわく、一緒に住んだ経験もないまま結婚するのは「いきなり感」が強く、「フタをあけてびっくり」のパターンがあるかもしれず「リスクが高い」のだそう。リスクマネジメント的にも「その人がどんな人かを知るには、まず一緒に住んでみたほうが良い」という意見が多いです。でもそれは「必ず結婚にたどり着かなければいけない」「恋愛のゴールは絶対に結婚である」という考え方がないからかもしれません。

 日本の場合は、同棲では女性がいいように使われてしまい、女性側が損をするので「同棲にメリットはない」「結婚に至らないリスクが高い」と考える人が多いよう。私自身も、日本での生活が長いせいか、実はそう思っているのですが、これがもし「恋愛重視」ではあるけれど「結婚はどちらでもよい」という欧州スタイルの考え方なら、そうは思わないのかもしれません。

結婚につながらない関係は「遊び相手」?

 よく同棲に反対する理由として「籍を入れず、一緒に住むだけなら、性生活も含め『遊び』の要素が強く、女性側が遊ばれてしまう」という意見があります。

 では、ドイツではこのあたりの感覚はどうなのかというと、遊びか否かというのは、一般的にその関係が「既成事実化しているか」というところが大きな判断ポイントです。同棲している恋人を自分の親や友達に紹介しているか。仕事関係の同僚に紹介してくれているか。ドイツでは会社のクリスマスパーティーに恋人を連れて行ったりもしますから、そういったイベントに連れて行ってくれるかどうかが、「本気かどうか」を見極めるひとつのポイントだというわけです。

 長年同棲している人が、どんなところにも恋人を連れて行き、恋愛に関して浮ついたところのない真面目な場合もありますし、「奥さんがいるけど、奥さんのいないところで不倫しちゃおう」と考える人よりも真面目かもしれません。もちろん人によりますけど。

サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト。

 ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオ共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(ともに流水りんこ共著/KKベストセラーズ)など。
「ハーフを考えよう!」http://half-sandra.com/