仲の良さそうな夫婦やカップルに会うと、つい「どこで知り合ったの?」と聞いてしまいます。日本の夫婦の場合、かつては「同じ会社で出会って結婚」というケースが目立ちました。今は、職場恋愛が推奨されず、おせっかいな上司が減ったのか、昔と比べるとあまり聞かなくなりました。
では、海外ではどうなのでしょうか。例えば、筆者の母国ドイツでは、夢のない話で恐縮ですが、近年は「Match.com」に始まり、「Parship」や「Tinder」などのアプリやオンラインサイトが人気です。
ひろくくくると「出会い系サイト」ということになります。ただ日本語で「出会い系サイト」というと、ニュースでしばしば「出会い系サイト」がらみの事件が報道されることもあり、あまり良い印象を持たない人も多いのではないでしょうか。でもドイツを含むヨーロッパに関しては、現在それほど悪いイメージはなく、最近では出会いの多くが「オンライン」だったりします。
ドイツの新聞には、昔から「出会い系」広告が!
というのもドイツでは「未知の人と出会う」ことに関しては伝統があるのでした。まだアナログだった時代にもドイツの大手新聞には昔から「結婚広告」や「交際広告」「パートナー募集広告」なるものが載っており、堅い新聞に大真面目に「出会い」のページがあるのです。
本気でパートナーを探している人も読みますし、そうでない人も「どれどれ、どんなものが載っているのかな」と面白半分に読むのです。というのも、ドイツの結婚広告やパートナー募集広告は各自「アピール」がものすごいので、「こういうことを書いている人は、どんな人なんだろう?」と想像するのが楽しいのです。
たとえば、パートナーの女性を募集している男性の欄には「当方、スポーティーで、魅力ある男性(身長は183cmで髪の色は濃い)です。アウトドア派です。週末に一緒にいろんなレジャーと楽しむことのできるパートナー(女性)を探しています。スポーティーで明るい性格のあなた、連絡待ってます」といった感じです。
「盛っている」広告のキーワードは「動物好き」?
・・・日本語に訳すと、なんだか違和感がすごいです。なんというか自分で自分を「魅力ある男性です」と言い切っているところなど、日本の感覚からすると、ツッコミどころ満載です。そんなこんなでかなり「盛っている」感のある欄なのですが、これらの広告はアピールという意味においては会社や企業の求人広告のようだな、と筆者には思えたのでした。
仕事の求人広告の場合も、いっけん淡々と情報が記載されているようで、実は「盛っている」場合もありますよね。「家庭的な職場で、やりがいのある仕事です! 明るいあなたをお待ちしています!」というたぐいのものと、どこかアピールの仕方が似ている気がしてならないのでした。
ちなみにドイツのこれらの「パートナー募集」の欄でよく登場するのが日本では死語になりつつある「スポーティー」(ドイツ語sportlich)という言葉。この言葉を出すことで少なくともドイツ語圏の国々においては、「運動が得意なのはもちろん、身体も筋肉質で性格的にも外交的な男性なのだろうな」と女性に思ってもらえる便利な言葉です。そのほかNaturfreund(自然愛好家)やtierlieb(動物好き)という言葉が婚活欄に頻繁に登場するのもドイツの特徴かもしれません。
自己アピールはしても、相手への条件はあまり提示しない!?
このようにドイツの結婚サイトなど、パートナー募集の場では「自分アピール」が目立ちますが、意外と相手の女性に対しては、条件をハッキリ書いていないところがドイツ流の優しさなのかもしれません。日本の場合は、過剰に自分のアピールはしない印象ですが、その一方で、相手に何を求めるか、どのような条件を期待しているかをかなりはっきりと提示している印象です。
ところで先日ドイツ人の友人と話していたら、「おばあちゃんが最近ネットでパートナーを募集している」と言っていて、アナログ人間の私はビックリしました。でも確かにドイツは年齢に関係なく恋愛にオープンなお国柄ですので、危険な目に遭わないように気を付けてさえいれば、老後のこういう楽しみ方もあるのかな、と思いました。
そんなこんなで近年はオンラインで知り合い、交際や結婚に至るカップルも少なくありません。さて、2月はとうとうバレンタインですね。次回は恋人同士のプレゼント事情やバレンタインについてお話しします。