生理痛で会社を休めますか? 生理休暇取得率が低いわけ

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 重い生理痛など生理に伴う不調を抱えながら働く女性は多いが、生理休暇の取得率は下がっている。「生理のことを上司に相談しにくい」などの理由がある。生理休暇を取りやすくしたり、男性社員にも女性の健康への理解を深める研修を行ったりと、職場環境の改善に取り組む企業も出てきた。

 東京都内の会社員女性(35)は、重い生理痛を抱える。しかしそれを理由に仕事を休んだことはない。「仕事が忙しい上、職場は男性が多く、話せる雰囲気ではない」。痛み止めの薬が効かない日もあり、「仕事に集中できない」とため息をつく。

「仕事に集中できないほどの生理痛」53%

 佐藤製薬が2016年、20~30代の働く女性442人を対象に行った調査によると、仕事に集中できないほどの生理痛を経験した人は53%。うち69%が仕事を休んだことがないと回答した。

 厚生労働省が全国約6000事業所を対象に行った調査では、2014年度に生理休暇を取得した従業員は0・9%。1997年度は3・3%、2003年度は1・6%で、取得率は減っている。

 同省雇用機会均等課は、「職場には生理のことは伝えず、年次有給休暇を使って休んでいるかもしれない。人手不足の企業では、休みたくても休めない女性もいるかもしれない」と話す。

 第一生命経済研究所の上席主任研究員、的場康子さんは「非正規雇用の女性が増え、立場上休みを取りにくいことも考えられる。痛み止めの市販薬が次々開発され、薬で何とか乗り切る女性も増えているのでは」とみる。

生理中の腹痛や頭痛に悩み、痛み止めを常備している女性は多い

生理痛も婦人科受診も「エフ休」で

 こうした状況に、職場の環境を改善する動きもある。

 ネット事業を手がける「サイバーエージェント」(東京)は14年、独自の休暇制度「エフ休」を設けた。名称は英語で女性を表す「female」の頭文字から取った。生理休暇や婦人科の受診、不妊治療による休暇などを取る際、全て「エフ休」と上司に伝えて休むことができる。同社の女性(30)は「男性上司には生理とは言いにくいので助かる」と話す。

 同社広報室の上村嗣美うえむらつぐみさんは「人手不足の中、優秀な女性に辞めてほしくない。女性が働きやすい環境を整えることは、会社にとってもプラスになる」と説明する。

 女性の健康について、理解を深めようとする企業もある。

 大塚製薬(東京)は15年から、産婦人科医らと協力し、女性の健康についてのセミナーを社内外で始めた。女性ホルモンについて解説し、生理中の腹痛や頭痛、生理前に生じるイライラや不安感などがあることも伝える。男性の参加もある。担当する西山和枝さんは「不調は仕事の量や質の低下にもつながる。適度な休暇が必要。職場で理解が広がってほしい」と語る。

女性の健康に関するセミナー。男性の参加者も多い(大塚製薬提供)

 社外向けセミナーを受講した、ソフトバンク(東京)人事担当者は「男性の理解も不可欠と感じた。男性限定のセミナーも行いたい」と話した。

 第一生命経済研究所の的場さんは、「働き方を見直す中で、使いやすい休暇制度への改善や、男性も女性も働きやすい職場作りが必要」と指摘している。

※生理休暇:労働基準法で定められている。働く女性が生理日に腹痛などで就業が難しく、会社に休暇を申請した場合、雇用主は女性を働かせてはいけないとしている。

我慢が重病招く恐れ

 産婦人科医の吉野一枝さんは生理について、正しい知識や早期の受診が重要と指摘する。

 「生理痛は病気でない、と我慢する女性は多い。放っておくと子宮内膜症や子宮筋腫などの病気を招く恐れがある。不妊になる可能性もある」

 我慢したり、仕事が忙しかったりして受診せず、症状が悪化していた女性も目立つという。

 吉野さんは、婦人科のかかりつけ医を持つことを勧める。婦人科では、症状に応じて、痛みを緩和する治療用低用量ピルや漢方薬などを処方してもらうこともできる。

 生理周期や出血量、日頃の体温などの記録をつけて、女性自身がまずは自分の体をきちんと知ることも大切だ。

 吉野さんは「ストレスが大きいと生理が止まったり、不調が悪化したりしやすい」と説明する。ストレスをためすぎないように心がけ、リラックスできる方法を見つけることも重要だ。(読売新聞生活部 矢子奈穂)