「口説く自由」発言どう思う?

サンドラがみる女の生き方

「#Me Too」への異論は姑的発言?

 性暴力やセクハラ被害に遭った女性たちが、#Me Tooのハッシュタグのもと、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」などを通じて、世界規模で声を上げています。そんな動きに対して、フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーブさん(74)が1月9日、著名人100人らと連名でフランスのル・モンド誌で公開書簡を発表。「女性を口説く自由は認められるべき」「膝を触ったり、軽くキスをしようとしたりしただけで男性は制裁を受け、職を失っている」と指摘し、この発言が加害者を擁護しているとして非難を浴びました。

 ドヌーブさんは14日、仏リベラシオン氏紙(電子版)に「気分を害したすべての(セクハラの)被害者に謝罪する」と書簡を寄せましたが、「SNSでのちょっとした批判が、処罰や辞職、メディアによるリンチを引き起こす」と、批判的立場は変えていません。その後も、フランスの元女優ブリジット・バルドーさん(83)がセクハラ行為を告発する女優たちについて「偽善的」と発言して波紋が広がっています。

 この一連の動きに関して、女性が自由に羽ばたけそうな動きがあると、その足を引っ張る者が出てくるのは「一種の法則のようなもの」と私は思っているので、あまり驚きませんでした。「これはもしかしたら姿を変えた『嫁姑よめしゅうとめ問題』なのかな」とも。「私も苦労をしたのだから、あなたも苦労しなさい」という姑的(?)な思考や願望があるのだとしたら、今回の発言も「私たちもされたのだから、今の若い女性たちはゴチャゴチャ文句を言わないで」という気持ちが隠れているのかも、と推測してしまいました。

「ほかの女性はセクハラに遭っていない」

 今回のことは「女優たちの話」と、とらえられがちですが、日常生活の中に潜むセクハラの場合も、こういったシチュエーションは起きやすいです。たとえばある女性が会社で「●●さんにセクハラをされた」と訴えると、ありがちなのが、「ほかの女性社員はみんな被害を受けていない」というような反論です。つまりは「あなた以外のほかの女性は被害を受けていないのだから、あなたがおかしいのでは?」「あなたの勘違いなのでは?」というようなリアクションです。

 私自身、大昔にストーカー一歩手前のしつこい男性について、勤めていた学校に相談をしたところ「でも、ほかの女性の先生はその男性にしつこくされていない、と言っている」と言われてしまい、何の解決案にもなっていないその発言を腹立たしく思いました。女性が困難な状況に陥ったとき、この手の反論にもなっていないような反論をされがちですが、想定内だとして地道に闘うしかないのかもしれません。

 女性が声を上げると、何かと周りから「茶々が入る」世知辛い世の中ですが、周りからのこうした反応を防ぐことはできなくても、普段から「なにか茶々が入るだろうな。でも、惑わされないようにしよう」とあらかじめ心に決めておきたいものです。女の心構えに関しても、まさに「備えあれば憂いなし」なのでした。

サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト。

 ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオ共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(ともに流水りんこ共著/KKベストセラーズ)など。
「ハーフを考えよう!」http://half-sandra.com/