ペットの防災 災害時にペットを守る飼い主の心構え

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  首都直下地震や南海トラフ巨大地震など様々な自然災害が予想されている。ペットを飼っている場合は、どんな対応が必要なのだろうか。家族の一員であるペットを連れて避難する状況やそれに伴うトラブルを想定し、しつけや餌の備蓄など、早めの対策を取っておきたい。

熊本地震の教訓生かし、対策パンフ改訂

 2016年に起きた熊本地震では、被災者がペットと共に避難所に行ったものの、鳴き声や臭いがトラブルにつながったり、飼い主が周囲に気兼ねしてペットと車中泊を続けたりしたケースがあった。

 熊本地震などを踏まえ、環境省は17年、飼い主向けのペット防災対策パンフレットを改訂した。「災害時にペットを守れるのは飼い主だけ」という文章を盛り込み、飼い主の自助努力を強調。避難生活で他の人らと摩擦を生まないよう、しつけの徹底を求めた。

 例えば、避難所でむやみに鳴き声を出さないために、日頃から環境の変化を体験させておくことを勧める。普段と違うコースでの散歩や、旅行などがいい。

 ケージに慣れさせておくのも重要だ。いきなり無理に押し込むのではなく、まずは扉を開けておき、おやつなどで入り口近くに誘い、中に入ったら褒めて食べさせる。ケージ内で餌を食べられるようになれば、食事中に扉を静かに閉め、食べ終わる前に開ける。これらを繰り返し、閉めておく時間を少しずつ長くする。

 日頃の備えでは、餌や水などの備蓄も意識したい。ただ、人と動物の防災を考えるNPO法人アナイス(東京)理事長で、東京都獣医師会事務局長の平井潤子さんは「被災状況によっては、自宅から何も持ち出せないことも考えられる」と指摘する。

 提案するのが、備蓄品の保管場所の分散だ。自宅だけでなく車にも備蓄したり、ペット仲間に預かってもらったりすると、備蓄品が被害を受けずに済む確率が高まる。

 自宅で家具が散乱して人間が住めない状態でも、倒壊などの恐れがなければ、ペットを残し、避難所から通って世話する方法も取れる。その際は、余震や火災に注意しよう。

 最近は、ペットと参加できる地域の防災訓練も増えている。平井さんは「避難所の受け入れ時の問題などを、行政や地域住民と共有できる」と参加を呼びかける。

人もペットも食べられる「マヒマヒ缶」

 ペットと避難する際の負担を軽減する防災グッズも増えている。

 一般社団法人関西ペット協会(大阪市)が17年秋から販売する「マヒマヒ缶」は、人間も犬も猫も食べられるので、備蓄する量を減らせる。

人だけでなく犬や猫も食べられる「マヒマヒ缶」のセット

 原料はハワイで「マヒマヒ」と呼ばれる魚のシイラ。保存期限は3年で、高知県黒潮町の第3セクターと開発した。同缶2個と、人間用の「すき焼き」「栗ぜんざい」など6個の計8個セットで、3500円(送料、税込み)。

首から提げて避難できる「ライフバッグ」

 犬や猫を入れ、首から提げて避難できる「ライフバッグ」も注目を浴びる。ペット用の服などを手がけるサイデリアル(東京)社長の岡聖記まさきさんが「ペットを抱えて避難すると、飼い主の両手がふさがって危険だ」として考案した。

ペットを入れて避難できる「ライフバッグ」

 中敷きを外せば、底部に包帯や飲料水などの非常用グッズを収納できる。購入者から「普段は昼寝の場所にしており、非常時も自らバッグに入ってくれそう」と好評だ。

 サイズや素材が異なる5種類があり、10~15キロの重さに耐えられる。価格は非常用グッズ付きで2万2000~3万5000円(税抜き)。(読売新聞大阪本社・辻阪光平)