ウンチク男は万国共通!? マンスプレイニングの現実

サンドラがみる女の生き方

 こと「男女平等」の話になると、日本よりも外国のほうが進んでいる、という話になりがち。でも実はどこの国にも程度の差はあれど、その国特有のマチズモ(男性優位主義)というものが存在します。特に英語圏やドイツ語圏の人々は「とにかくしゃべるのが大好きな国民性」ですから、「女性に何かを解説したくて仕方ない男性」というものにしばしば出会います。いわば女性を前にウンチクを傾ける男ですね。

 実はこの現象、マンスプレイニング(英語: Mansplaining)と言うのだそう。「男」を意味する「man」、そして「解説」を意味する「explain」を組み合わせた造語ですが、男性が女性に対して偉そうな感じで何かを解説するその有り様を指します。2008年に米紙「ロサンゼルス・タイムズ」が運営するウェブサイト上で公開されたレベッカ・ソルニットのエッセイ「Men who explain things to me」(私に解説してくる男たち)が、このMansplainingという言葉の誕生のきっかけだとされています。

 冒頭の通り、マンスプレイニングは、男性だという理由だけで女性より優位になった気になり、ウンチクを語ることを指しますが、かくいう私も、エンジニアの職に就いている日本語が話せない欧米人男性に「本やコラムの書き方」、果ては「日本語の文章の書き方」について「アドバイス」されたことが。当時は、「なぜ畑が違う人に、レクチャーされなくちゃいけないのか」と不思議に思っていた私ですが、今思えば、あれはマンスプレイニングだったのですね。

 そんなこんなで男性優位社会は何も日本に限った話ではないのですが、正直にぶっちゃけてしまうと、私にもマウンティングをしたい気持ちはありますので、男性の「マウンティング欲」について、なんだか理解ができてしまったりします。程度が軽ければ、人間くさくてかわいいな、なんて思ってしまいます。

何でもさらっとかわすのが「オトナの女性」?

 けれど、マンスプレイニングにみる男性の女性に対するマウンティング、果てはセクハラまで、なんでもかんでも「女性側がさらっとかわせば済む問題」だとは思いません。

 日本では困難な状況に陥った女性に対して「笑顔で乗り切った」とか「うまくかわすのがオトナの女性」という、時に妙なほめられ方がされます。ですが、我慢はほどほどにして、時には皮肉たっぷりに言い返したり、ピシャッと言い返すのも世界基準ではアリなので、日本でももっと広まればいいのに、なんてひそかに思っている私です。

「上品」という呪縛

 はっきりと言い返そうとしたり、ものを主張しようしたりする際に、どこか頭の片隅にある「上品でなければいけない」という潜在意識が女性の足を引っ張ります。

 日本では女性の言葉遣いや声のトーン、立ち居振る舞いなど、あらゆることにおいて「上品さ」が求められます。もちろん上品な女性は見ていて気持ちがいいですし、実際に私も上品な感じの女優さんを「素敵すてき」だとは思います。が、何かを言おうとしたり、やろうとしたり、つまりは何か「一歩」を踏み出そうとした時に、「これはやはり女性としては、行き過ぎだからやめておこうかな」とか「女性として品格を疑われるからやめておこうかな」と無意識に行動にブレーキをかけてしまうと、チャンスを逃すことも多くなると思うのです。

 仕事に関しては、男も女もある程度貪欲であることが求められますから、その過程で女性にばかり「品」なるものが求められるのはなんだかなあ、と思うのでした。「品のある男性」という言い方はあまりしませんし、そもそも世界のリーダーと言われる人でも「品」のある男性ばかりかというと……。

 そんなこんなで女性は仕事でガツガツしていいし、もちろん恋愛にもガツガツしていいし、痴漢に遭ったら下品な言動で撃退するぐらいがバランス的にはちょうどよいのではないかと思っています。ニッポンでは「ヨーロッパの男性は、レディファーストで紳士的」だとしばしば言われていますが、それは現地の女性が怖いからそうせざるを得ない部分もある……というのもまた実情なのでした。

サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト。

 ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオ共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(ともに流水りんこ共著/KKベストセラーズ)など。
「ハーフを考えよう!」http://half-sandra.com/