「黒」に染まった授賞式、セクハラや抑圧に抗議のドレス

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黒人女性として初めて「セシル・B・デミル賞」を受賞したオプラ・ウィンフリーさん(ロイター)

 米アカデミー賞の前哨戦とされる第75回ゴールデン・グローブ賞。いつもなら色とりどりのドレスで埋め尽くされる会場が、1月7日は黒一色に染まりました。これは、昨秋以来、次々と明るみに出た映画関係者らのセクハラ行為に、女優たちが結束して抗議の意思を示すためでした。

 実は、授賞式に先だって、参加する女優たちは「#WhyWeWearBlack」(私たちが黒を着る理由)のハッシュタグを付けた投稿をインスタグラムに相次いでアップしました。アメリカでは、昨秋に大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏のセクハラ行為を複数の女優が告発したのをきっかけに、映画界だけでなく政界やメディアなどでも性的暴力や性差別の実態が明らかになっています。

男性参加者の多くは、オールブラックのタキシードに”Time’s Up”ピンを付けていました(ロイター)

 授賞式には、女優のエマ・ワトソンさんやメリル・ストリープさん、ニコール・キッドマンさんら多くの女優が黒いドレスを着て参加。男性セレブたちも黒いスーツに「#TimesUp」(黙殺されてきた性的暴力や性差別を見て見ぬふりをするのを終わりにしよう)運動のピンバッジを付けていました。

 米Variety誌電子版によると、エマさんはレッドカーペットでのインタビューに対し、「連帯を示すために黒を着ています。この問題はハリウッドにいる女性たちだけの問題ではなく、世界中の女性に関わるもので、このメッセージを拡散したくて、今夜みんなで協力しました」と話しました。

 黒一色に染まった会場で、「ビッグ・リトル・ライズ ~セレブママたちの憂うつ~」で女優賞(リミテッドシリーズ/テレビムービー部門)に輝いたニコール・キッドマンさんは、作品自体が虐待をテーマにしていることから、「この物語を通じて変化を起こせると私は信じているし、望んでいます」と受賞スピーチで述べました。

「ビッグ・リトル・ライズ ~セレブママたちの憂うつ~」がテレビ部門作品賞を受賞した後、メディア向けに撮影に応じるニコール・キッドマンさん(左から2人目)ら出演女優陣(ロイター)

 最も印象的だった受賞スピーチはオプラ・ウィンフリーさんでした。生涯功労賞である「セシル・B・デミル賞」を黒人女性として初受賞したオプラさんは、「強大な権力を持つ男性を前にして、女性は長い間、勇気を出して真実を語っても聞いてももらえず、信じてももらえませんでした」と自らの経験を語り、「自分の真実を語ることが、私たちができる最もパワフルな手段」と訴えました。

 人気司会者で、女優として「カラーパープル」などにも出演したオプラさんは、子どもの頃、テレビの前でシドニー・ポワチエが黒人初のアカデミー賞最優秀男優賞を受賞したシーンを見て、勇気づけられたと語りました。その時の自分と同様に「私がこの賞を初の黒人女性として受賞するのを、いま、どこかで見ている少女たちがいる。新しい日がすぐそこまで来ていることを、いまこれを見ている女の子全員に知ってほしい」と力強く話し、会場はスタンディングオベーションに包まれました。

 このスピーチにより、米メディアはオプラさんが将来、米大統領選に出馬するのではないかと報じています。その真偽のほどはわかりませんが、少なくとも参加者やテレビの視聴者の心を捉えたことは間違いありません。(メディア局・杉山智代乃)

 

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