転職する時のポイントは?目先の損得より理想の働き方

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 転職したり、パートから正社員になったりと働き方を変える女性は多い。どのような心構えで臨み、どんな点に注意すればいいのだろうか。

 「どのように働きたいのかを自分の中ではっきりさせ、転職活動をした。その結果、定年まで勤めたいと思える会社に出会えた」

 10月からITコンサルティング会社「ARアドバンストテクノロジ」(東京都渋谷区)に勤める宮下由美子さん(35)は話す。6回目の転職先の同社で、マーケティング(市場調査)相談と広報を担当している。

キャリア支援講座で講師を務める岩橋さんは「理想とする働き方を明確にしましょう」と呼びかける(東京都杉並区で)

 宮下さんは入社前、同社が社内外の人を対象に開いている食事会に参加し、会社の雰囲気や勤務形態を知った。以前の仕事と違い、業務の時間管理が自立的に行えるなど、自分の望むものに近かった。「転職支援の代理人を使ったこともあるが、人任せになりがちだった。気持ちに正直に向き合うようにした」

 総務省の労働力調査によると、2016年の転職者比率(就業者に占める転職者の割合)は、女性5・8%、男性4%。対前年比はともに0・1ポイントの上昇だった。

 転職などのキャリア支援講座を運営する「MYコンパス」(東京都中央区)社長、岩橋ひかりさんは「理想とする働き方や生活を明確にして転職活動をするのが大切。その基本が出来ていない人が意外と多い」と指摘する。

 両立支援や在宅勤務制度など働きやすさや、社内にロールモデル(手本となる人)がいるかどうかも大切だが、中長期的に自分が何をしたいかを考えることが、満足できる仕事に就ける近道だという。

 転職先には、待遇についての考えをはっきり伝える。また、家族にも意思表示は必要。介護の問題で転職や再就職を諦めている人も多いが、外部サービスの利用などを家族で相談すれば、可能性はあるという。

 「転職のテクニックにおぼれたり、目の前の損得で決めたりしないで」と岩橋さん。

 パートから正社員へと働き方を変えるケースも増えている。ただ、社会保険労務士で、「アイデム 人と仕事研究所」(東京都新宿区)所長の岸川宏さんは「即断せず、十分検討してから決めた方がいい」と指摘する。

 川崎市のスーパーでパート勤務する女性(45)は働きぶりが評価され、スーパー側から正社員への登用を提案されたが、最終的に断った。「賃金は安くても、パートの方が融通が利く」と話す。

 岸川さんによると、会社側が定時退社などを提唱しても、直属の上司や同僚の理解が追いつかず、現場の人員も不足していることがある。正社員になっても残業せざるを得なくなり、パートにも戻れず、会社を辞めてしまう例もある。

 「事前に会社側からしっかりと説明を受け、勤務内容を詰め、共通認識を持つことが大事。自身と会社、両方に利益となる関係を築けるかどうかもポイントです」と岸川さんは話す。

新しい職場で上司と談笑する宮下さん(中央)。「過去の転職活動の反省を踏まえて職探しをしました」(東京都渋谷区のARアドバンストテクノロジで)

会社が退職渋る時は

 転職のため退職を希望しても、会社がなかなか認めてくれないケースがある。

 東京の商社に勤める女性(25)は音楽事務所に転職しようと10月、口頭で退職を伝えた。だが、上司は後任が見つからないことなどを理由に取り合わず、結局、女性は新職場での勤務が希望よりも1か月遅い2月からになってしまった。

 「新霞が関綜合法律事務所」(東京都千代田区)の弁護士、朝日純一さんによると、同様のケースはまれではない。背景には人手不足などがある。

 民法により、従業員は会社に退職を届けて、2週間で退職することができる。ただ、月給の計算法により、退職できる日に違いが出る場合がある。1日ごとに給与を計算する日給月給制の場合は申し入れから2週間後に退職できる。しかし、1か月ごとの完全月給制では、その期間の前半に申し入れなければ、期間末に退職できず、1か月遅れる。

 また、会社の中には就業規則で申し入れから退職までの期間を独自に定めているケースもある。朝日さんは「常識を逸脱するような期間の設定は公序良俗に反するため認められない。会社が退職を渋る場合は、早い段階で内容証明を送り、交渉することも効果的な方法です」と助言する。(宮沢輝夫)