仕事効率アップのカギは「休暇」ドイツ流の休み方

サンドラがみる女の生き方

 海外旅行というと「いろんな場所が見たい」という思いから、私はついついたくさんの予定を入れてしまいがちなのですが、みなさんはいかがでしょう? 短い滞在であっても、毎日違う街を訪れたり、時にはいくつもの国を「はしご」したりと、かなり慌ただしい日程になることも少なくありません。

 そんな姿を見て「もっと1か所で、ゆっくり過ごせばいいのに」なんて、余計なひと言を言ってしまうのがドイツ人です。では、ドイツで主流の休暇の過ごし方はというと、「一か所に長く滞在」型が多いのです。

ドイツ流休暇の過ごし方は「1か所で長くゆっくり」

  ドイツでは、とにかく「南の島」が好きな人が多いです。よって休暇先として選ぶのも、一昔前だと、イタリア、ギリシャ、スペインなどの比較的近場のリゾート地で、最近ではモルディブやバハマなどのドイツからはちょっと距離のある「南の島」。それなりに島のいろんな場所はまわるものの、基本的には1か所に長期滞在して、海やビーチを思う存分、満喫するスタイルです。

 昔から周辺の国々の人に「どこの国のビーチに、どんなに朝早く行っても、そこには既にドイツ人がいて、場所取りをしている」なんて皮肉を言われているように、お気に入りのビーチで来る日も来る日もゴロゴロと日焼けをしているわけです。

「日焼け」&「恋愛」が生きがい?

 ドイツは日照時間が短く、かつ日焼けができるような海もない(北に海がありますが、北ゆえに日焼けは期待できない)ため、南の島のビーチでひたすら日焼けをし、休暇明けにはその焼けた肌で会社に出社するのが一つのステータスになっていたりします。そして、休暇後も肌の「こんがり」をなるべく長くキープするために、美白の逆である「セルフタンナー」商品が人気です。ドイツで年がら年中、肌が白い人は「ああ、家にこもって南の島に行けていないんだな」と勝手に同情されてしまったりもするので、なかなかシビアです。

 だから、休暇への意気込みには、すごいものがあります。「休暇のために生きている」といっても過言ではありません。ドイツは日本と比べて一般社員の労働時間が短いですが、短時間内に集中して働き、成果を上げているのは、「恋人やパートナーと過ごす休暇」が最大のモチベーションとなっているからだと言われています。家族や恋人と良い関係を保つには、長い休暇を一緒に過ごすことが大事だというのがドイツ流の考え方です。

 そういう意味では、休暇と恋愛は切っても切り離せないものなのかもしれません。休暇中の出会いが恋愛に発展することも多いですし、恋人ができれば当然、長い休暇を2人で一緒に過ごします。休暇も恋愛もドイツ人にとって「生きがい」そのものです。

 というわけで、ドイツでは日本よりも「パートナーと趣味が合うか」が重視される傾向にあります。たとえば2人ともシュノーケリングやスキューバダイビングが好きなら一緒に楽しめますし、スノボ好きならば、冬はスノボの休暇を2人で楽しめるというわけです。

恋愛体質がもたらす週末至上主義

 さて、休暇をとるのが難しい時期は、楽しみは目先の「週末」へと早変わり。忙しい時のドイツ人はまさに「週末から週末」へと生きています。もちろん家族や恋人と一緒に過ごします。ドイツの日曜日は、デパートやスーパーマーケットなどの店は閉まってしまうので、ショッピングはできないのですが、そんなちょっとさびしい街中でも、恋人同士がウインドーショッピングを楽しんでいるのでした。

 仕事がつらい平日、週末は恋人と何をしようか……と計画をたてては、みんなひそかにワクワクしているのでした。10代のようだと思われるかもしれませんが、ヨーロッパ人はそもそもが「恋愛体質」なのです。

 近年、日本では「恋愛しない若者」「結婚しない若者」、そして少子化が問題として取り上げられていますが、やはりどの問題をとっても、週末を含め“休み”が一つのキーワードのような気がしてならないのでした。

サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト。

 ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ」(ヒラマツオ共著/メディアファクトリー)、「爆笑! クールジャパン」(片桐了共著/アスコム)、「満員電車は観光地!?」「男の価値は年収より「お尻」!?ドイツ人のびっくり恋愛事情」(ともに流水りんこ共著/KKベストセラーズ)など。
「ハーフを考えよう!」http://half-sandra.com/