ヘルシンキで見本市
日本でも人気の北欧家具。シンプルで流行に左右されない「タイムレス」なデザインが魅力だ。フィンランドの首都・ヘルシンキで9月に開かれた北欧最大級のインテリアデザインの見本市「ハビターレ2017」でも、機能性と美しさを備えた多くの家具に出会った。

フィンランドは陸地の65%が森林で覆われており、シラカバやマツ、モミなどが多い。国内を中心に約600の企業やデザイナーなどが参加したハビターレにも国産木材を用いた家具が並んだ。
フィンランド中西部のユルバ村に拠点を置く「ハコラ」のソファは、濃い琥珀色のレザーが目を引く。もちろん国産材が使われており、クリエイティブディレクターのアンナレーナ・ハマライネンさんは「安全性や耐久性に優れた国産材を伝統的な手仕事で家具に仕上げている」と話す。
革の手触りはなめらかで、クッションはほど良く沈み込む。シンプルな形の中にぬくもりがある。「何代にもわたって長く使ってもらえる。そんなものづくりを目指しています」と語る。

「昼と夜」と名付けた木製のソファベッドを出品していたのは、デザイナーのタピオ・アンッティラさん。マットを重ねたような形状だ。枕や毛布がソファ内部に収納できるなど機能性に優れる。「フィンランド家具はモダンで快適なのが特徴。合理的な価格とデザインが人々の暮らしを良くします」

フィンランド家具といえば建築家アルヴァ・アアルト(1898~1976年)らが1935年に設立した「アルテック」が代表的な存在だ。無垢材をL字形に曲げる技術を確立し、木材の素材としての幅を大きく広げた。
かつて経済的に豊かではなかったフィンランドには、モノを大切に使う習慣が根付いている。北欧デザインに詳しい同国在住のテキスタイルデザイナー、島塚絵里さんは「長く使い続けるには機能性が大事。だから、シンプルで人に優しいデザインが発展していった」と話す。(生活部 志磨力)