元SMAP3人は今も「未完のアイドル」だ

スパイス小町

 28年に及ぶグループでの活動に終止符を打ったSMAP。9月8日に、稲垣吾郎さん、草なぎ剛(なぎは弓へんに剪)さん、香取慎吾さんの3人がジャニーズ事務所を離れました。解散しても全国の熱いファンたちは、9月9日のSMAPデビュー記念日に、それぞれのお祝いをしました。そして、2003年の大ヒット曲「世界に一つだけの花」はこの日、オリコンのデイリーランキングで1位を記録したそうです。

 テレビ局などに大きな影響力を持つとされる同事務所から離れることで、一時は、「彼らはこれからどうなるのか?」「もう彼らを見られなくなるかも」「芸能活動がしにくくなるのでは」といった懸念の声も聞かれました。しかし、先月「新しい地図」という公式ファンサイトが開設され、そこで彼らは「新しい価値」を鮮やかに示してみせたのです。

 ファンサイトで公開されている動画に、こんな文言がありました。「逃げよう。自分を縛りつけるものから。ボーダーを超えよう。塗り替えていこう。自由と平和を愛し、武器は、アイデアと愛嬌あいきょう

 私は、アイドルの条件は「未完であること」と考えています。この新鮮なメッセージで、新たに進化しようとしている姿を彼らは見せてくれました。まだまだ走り続ける限り、彼らは未完であり、アイドルなのだと思います。

ネットに新しい価値を「創る」

 3人は、ジャニーズ時代は活用していなかったSNSに進出したほか、11月2日に放映されるインターネットテレビ「AbemaTV」の番組で共演することを発表しました。彼らが出演する番組の予約数は、AbemaTVとしては過去最多だそうです。

 ジャニーズ事務所に所属するタレントは、ネットメディアへの露出を抑制しています。それだけに、同事務所から離れた後、3人が初めて共演する番組がインターネットテレビで放映されることも、ファンのみならず、多くの人たちの関心を集めている理由ではないでしょうか。

 さらに「新しい地図」では、有料のファンクラブ会員である「NAKAMA」を募集。あっという間に約5億5000万円が集まったそうです。これは、ネット上で社会貢献などのための事業資金を集める「クラウドファンディング」という手法にも似ています。最近は芸能界でも、知名度の高さを生かしてクラウドファンディングを活用するケースが増えています。

 スポーツビジネスの専門家から、有名サッカー選手の話を聞いたことがあります。SNSで世界中にフォロワーを持つ彼は、自分でグッズを作って、直接ファンに販売するビジネスを展開しているそう。以前はスポンサーがいるからできていたことですが、ネットという新しい場では、新しい価値が新しいビジネスを作ります。

 地上波テレビで一時代を築いた彼らが、ネットを舞台に新しい価値を作ろうと動き出しました。もしかすると、それがメディアの新しい勢力「地図」ができるきっかけになるかもしれません。

白河桃子
白河 桃子(しらかわ・とうこ)
少子化ジャーナリスト・作家

 相模女子大学客員教授、昭和女子大学女性文化研究所客員研究員。内閣官房「働き方改革実現会議」「一億総活躍国民会議」の民間議員も務める。東京生まれ、慶応義塾大学卒。住友商事、リーマンブラザーズなどでの勤務を経てジャーナリストに。女性のキャリア、働き方改革などをテーマに発信している。「『婚活』時代」(山田昌弘共著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)で「婚活ブーム」の火付け役となった。著書に「妊活バイブル」(講談社新書)、「女子と就活」(中公新書ラクレ)、「産むと働くの教科書」(齊藤英和共著、講談社)、「格付けしあう女たち」「専業主婦になりたい女たち」(ともにポプラ新書)、「御社の働き方改革、ここが間違ってます!」(PHP新書)など。10月26日に「『逃げ恥』にみる結婚の経済学」(是枝俊悟共著、毎日新聞出版)を刊行予定。「仕事、出産、結婚、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。

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