婚姻届出した役所ですぐ結婚「届け出挙式」増えてます

自治体が導入、手軽で無料

 婚姻届を提出した後、そのまま役所で挙式する「届け出挙式」が広まりつつある。基本的に費用無料で、セレモニーも簡易なので、経済的な理由や忙しくて結婚式を行うのをちゅうちょしているカップルにもチャレンジしやすい。自治体にとっては若者の定住促進にもつながる。

 東京都足立区では8月末、区内在住の男性(38)と女性(31)が、区役所で届け出挙式を行った。戸籍住民課に婚姻届を提出した1時間後、正装の2人は会場となる議会棟に移動。親族や友人30人が見守る中、結婚への決意を込めた「誓いの言葉」を述べ、指輪を交換した。

 夫妻は大きな式を行う予定はなく、身内だけで祝いの場を設けようと考えていた。しかし、新婦の両親から「式を開いてほしい」と言われ、区の事業に応募した。男性は「思っていた以上に本格的で、思い出に残る一日となった」と満足する。

 足立区は区への愛着を深めてもらおうと、結婚情報誌「ゼクシィ」の協力で事業を開始し、今年に入って4組の届け出挙式を実施した。服装は自由で、区民であれば無料で利用できる。事業を継続するかは未定で、今後反響をみて検討していくという。

自前のドレスとタキシード姿で、婚姻届提出後に挙式した夫妻(8月27日、足立区議会棟で)=足立区提供

「ナシ婚」は3割

 厚生労働省によると、2016年の婚姻件数は約62万組。リクルートブライダル総研(東京)のアンケート調査では、結婚式の実施率は7割程度で、3割は挙式や披露宴をしない「ナシ婚」とみられる。

 披露宴などを行わないカップルに「結婚式観」を尋ねたところ、「段取りや準備が面倒」が71・1%で最多。「お金がもったいない」も56・2%と、挙式や披露宴にかかる時間やお金を理由に敬遠する人が多いことが分かる。

 一方、挙式、披露宴を行っていないカップルの中にも、親族中心の食事会や写真撮影会など何らかのイベントを実施している人が2割いた。昔ながらの式や披露宴といった形にとらわれない人も増えている。「届け出挙式など気楽なスタイルを選択するカップルもいる」(ゼクシィ・平山彩子編集長)と指摘する。

地元への愛着 定住期待

 日本の自治体として初めて届け出挙式を始めた北海道苫小牧市は、今年度は毎月1~2回程度のペースでの実施を予定し、これまで2組が挙式した。所要時間は10~15分と手軽で、市の公式キャラクター「とまチョップ」が参列するなど、通常の挙式とは違ったユニークな演出もできる。苫小牧市では、20歳代の若者の都市圏への人口流出が著しい。届け出挙式の実施によって、結婚に対する機運や地元への愛着を醸成し、定住促進につなげたい考えだ。

 三重県鈴鹿市では、10月、11月、来年2月の22日に、「夫婦の日」にちなんで届け出挙式を行う。市長の立ち会いの下、宣誓書に署名したり、記念撮影したりする。ブーケやベール、花冠、リングピローなどの小物は市からレンタルできるので、普段着のまま手ぶらで来ても、花婿、花嫁気分を味わうことが出来る。鈴鹿市の担当者は「市のPRにつながれば」と期待する。

 今後、届け出挙式を行う自治体が増えるかは未知数だが、すでに神奈 川県横須賀市など複数の自治体でも実施を予定、検討しているという。(野口季瑛)