「お試し後」エステで勧誘、強引な高額契約に注意

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被害相談で目立つのは20代女性

 エステティックサービスや美容医療での消費者トラブルが後を絶たない。被害の相談で目立つのが20代の女性だ。業界団体などが対策を進めているが、安易な美の追求は、思わぬトラブルにつながりかねない。

 東京都内の女子学生(20)は昨年10月、都内のエステサロンで強引に契約を結ばされた。「お試しで1回5000円」の全身マッサージを受けたところ、施術後に10回計30万円以上というコースの契約を求められた。何度も「お金がない」と断ったが、女性カウンセラーは「続けないと意味がない」と食い下がった。このままだと帰宅できないと思い、頭金を払い、契約書にサインしてしまったという。

 その後、クーリングオフにより頭金を取り戻し、契約も取り消せたが、女性は「軽い気持ちでいたかも。でも、なぜ怖い思いをしなければならなかったのか」と憤る。

 全国の消費生活センターなどに寄せられた、昨年のエステに関する相談は約5000件。過半数を20代が占めた。内訳は、脱毛、 痩身そうしん 、美顔の順に多かった。医療脱毛や豊胸手術など美容医療に関する相談も、20代からが多い。

 相談内容は主に「無料カウンセリングの後に高額な契約を結ばされた」「解約してくれない」といった契約に関するものだ。エステや美容医療の契約問題に詳しい弁護士の矢倉昌子さんは「若い人は社会経験が少なく、断れるかどうか判断できなかったり、解約するのが恥ずかしいと思ったりして、強引な勧誘に応じる傾向がある」と話す。

 とくにエステは公的な資格や免許がなく、参入しやすいことから、利益だけを求める悪質な業者が現れやすい。ある業界関係者は「脱毛サロンなどは、訓練を受けていなくても機器があれば開店できる。利潤ばかりを求め、クーリングオフも知らない従業員がいたサロンもある」と嘆く。

 特定商取引法では、エステ契約は一部を除き、契約内容の概要を記した「概要書面」と、契約に基づく権利や義務の内容を明確にした「契約書面」の交付が義務づけられている。消費者庁は契約にあたり、書面が正しく交付されているか確認するよう、消費者に呼びかけている。厚生労働省も8月に「医療機関ネットパトロール」を始め、美容医療で目立つネット上の虚偽誇大広告を取り締まっている。

 業界側も自主基準を設けている。民法では、未成年者の契約は、保護者など法定代理人の同意がなければ取り消せる。エステの業界団体も加盟サロンに対し、未成年者の契約では必ず保護者の同意を確認するよう求めている。

 今後、民法改正で18、19歳も成人となれば、経済力のない高校3年生も親の同意なしに契約が可能になり、新たな対策が必要になってくる。

 業界団体「日本エステティック業協会」(東京)理事長の 天辰あまたつ 文夫さんは「サロンは安心安全を提供することが大前提」と話す。同協会は相談窓口を設け、加盟サロンとの契約トラブルなどに応じている。しかし、相談は非加盟サロンとのトラブルが、加盟サロン関連を大きく上回っている。このため協会は、加盟サロンであることを示すステッカーを作り、店頭などに掲示させている。天辰さんは「サロン選びの参考にしてもらえたら」と話す。

日本エステティック業協会の加盟サロンであることを示すステッカー(右下)が、受付などに貼られている(東京都渋谷区のTBC新宿南口店で)

クーリングオフ 訪問販売などの契約を結んだ消費者が、契約日を含む8日以内(一部の取引を除く)ならば無条件で解約できる制度。エステは1999年、1か月を超えてサービスを受け、5万円を超える料金を支払う契約が対象となった。美容医療も今年12月から、「脱毛」「にきび、しみ、そばかす、ほくろなどの除去」などが対象となる。

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