友人が教えてくれたお香「hibi」は、私にとってお香の概念を覆すものだった。8本のお香と不燃性の小さなマットのセットで、スタイルは昔ながらのマッチそのもの。
お香の先にマッチの頭がついている。箱の側面で擦ると火がつくため、着火具がなくても手軽に使える。片手に載るサイズで、デザインはシンプルでスタイリッシュ。インテリアとしても申し分なく、一目で好きになった。
香りも多彩で、特にひかれたのがレモングラス。漂う香の中に柑橘系の爽やかな香りが感じられ、約10分の間、まるで別の場所にいるような感覚になり、リラックスできる。
hibiは、兵庫県太子町のマッチ製造会社「神戸マッチ」と、同じ兵庫の淡路島でお香を作る「大発」が、香りの新しい楽しみ方として3年半かけて開発したという。デザインも兵庫の「TRUNK DESIGN」が担った。
姫路市、太子町などの播磨地域はマッチで、淡路島はお香で、それぞれが日本一の生産地だそうだ。マッチの利用は生活から遠のいてきているが、主役でなくても、「マッチを擦る」という行為を語り継ぐことができれば、との思いが込められている。
先日、外国人観光客が、時間をかけてhibiを選んでいる姿に出くわした。なんだかとても誇らしい気持ちになった。(ユカデザイン代表)