NYスタイルの「フードホール」都心に続々

しゃれた飲食店が並ぶフードコートの高級版 

 広い屋内空間に、しゃれた高級飲食店が集まった「フードホール」と呼ばれる場所が増えている。米ニューヨーク発のスタイルと言われ、各店の料理を共通の飲食スペースに持ち寄って食べられる場合もある。いわば、フードコートの高級版。こだわりの逸品料理をカジュアルに味わえると人気だ。
 約1100平方メートルの空間はホールのようだ。中央にはバーカウンターがあり、周囲にはのれんで仕切っただけの高級専門店が並ぶ。客はカウンターのスツールや、街並みを眺められる窓際のソファでこだわりの味を楽しんでいた。
 東京・銀座に20日に開業した複合商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」内のフードホール「銀座大食堂」には、10店が出店。新鮮な魚介類を使った創作料理をシャンパンと味わうバル、京都の料理人が提案する洋食店、高級茶を楽しめるティーサロンのほか、ステーキやすし、ウナギなどの専門店がある。
 座席数は約380。友人らと訪れ、各自、好みの店の料理を選んで一緒に食べることもできる。会社員の女性(26)は「色々なジャンルの味が楽しめ、わいわいした雰囲気の中で、居合わせた人と交流もできそう。本格的な料理が味わえるのもいい」と話す。
 フードホールはここ数年、米ニューヨークなどで続々とオープンしている。食材や味の質にこだわり、雰囲気もおしゃれな高級店や話題店が出店。魚介や野菜など食材を販売する店もあり、マーケットのような活気もある。
 日本国内でも昨年から、都心の商業施設などに相次いで登場している。フードコートは手頃なファストフードのチェーン店中心の出店で、家族連れや学生の利用が多いが、フードホールは食のトレンドに敏感な人や、海外からの観光客の利用を見込む。銀座大食堂の企画・プロデュース会社の加藤菜緒さんは、「日本の食文化を世界に発信したい。多様な人が集う場となれば」と話す。

こだわりの味、わくわく感楽しむ

「ニュウマン」のフードホールには、しゃれた雰囲気の店が集まる(東京都渋谷区で)

 東京・新宿駅の商業施設「ニュウマン」にあるフードホールも、駅を利用する外国人旅行客や若い女性客らでにぎわう。朝7時から翌朝4時までの長時間営業。長野・軽井沢発のベーカリーレストランや、日本初上陸のシンガポールのオイスターバー、フランス料理とクラフトビールをカウンターで楽しめる店など5店が集う。
 東京都渋谷区の「エビスフードホール」は、自家焙煎ばいせんのコーヒー、ベーカリー、サラダ店、ワインとそれに合う料理が楽しめるバルがあり、共通の席は約120席が用意されている。
 東京都港区の「シナガワ ダイニング テラス」は、焼きたてピザを提供する店とステーキハウス、日本酒や世界各国から取り寄せたワイン、チーズを扱う店など4店舗が出店している。
 国内外の食文化に詳しい編集者の畑中三応子さんは、「フードコートでは物足りないが、高級レストランはハードルが高いと感じる人がリラックスして食事できる。かつて日本人がこぞって外食したデパートの大食堂をほうふつとさせるわくわく感があり、新しくも懐かしい飲食店の形ではないか」と話す。(谷本陽子)