海外旅行 契約トラブルご用心

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突然の旅程変更、宿泊代の再請求も

 海外旅行では、ホテルが予約されていなかった、旅程が一方的に変更されたといったトラブルが起こり得る。破産手続き中の旅行会社「てるみくらぶ」では、旅先で宿泊代を再請求された例もあった。この大型連休中、海外旅行を予定する人は、契約を証明できる書面を持って行き、現地大使館の連絡先を事前に調べるなどして、万一に備えたい。

 東京都内の20代女性は3年前、旅行サイトで海外のホテルを4泊分予約した。1泊目は予約通り宿泊できたが、2、3泊目は業者側の都合で別のホテルへ移ることになり、4泊目は部屋の確保自体がされていなかった。自らホテルを探して、自腹で宿泊したという。
 3月末に経営破綻したてるみくらぶの旅行者は、代金を支払ったのに入金が確認できないとして、旅先で宿泊代を請求されるなどの問題が起きている。同様のトラブル例は各地の消費生活センターにも寄せられている。もしもの時、どう対処したらいいだろうか。
 日本旅行業協会(JATA)消費者相談室長の鈴木宏治さんは、「現地で宿泊できないなどのトラブルになって、相手との交渉が難航した場合は、まず旅行会社に連絡して」と話す。海外旅行の場合、時差がある。問い合わせ窓口の営業時間は事前に把握しておこう。契約内容を証明する書面も携行する。

複数商品見比べ 慎重に決める

 もっとも、旅行会社との連絡が取れない事態も想定される。大使館などの在外公館では、お金の立て替えや航空券の再発行はできないが、通訳や弁護士などの情報提供、家族からの送金方法についての助言はもらえる。場所や連絡先を把握しておくと安心だ。出費がかさむ可能性もあるので、クレジットカードなども準備しておきたい。
 ただ、鈴木さんは「現地では、できることが限られる。トラブルの芽を摘むためには、慎重に旅行会社を選び、契約することが大事だ」と指摘する。
 国民生活センターによると、2016年度の旅行業に関する相談は、全国で4692件。その大半は解約やキャンセル料など旅行前に起きたトラブルに関するものだ。同センター相談情報部の井上竜一さんは「申込時にもう少し気をつけて確認していれば、というケースは少なくない」と話す。
 旅行を検討する際は、行程の似た複数の商品と契約条件やサービス内容をよく比較する。安価な商品には、格安航空会社を使う、旅程の変更に融通が利かないなど、それなりの理由がある。
 申し込みにあたっては、消費者庁が3月に作成したチェックリスト=表=が参考になる。ネット予約の注意点をまとめたものだが、一般的な旅行契約にも通じる。
 契約内容では、解約条件をよく確かめよう。国内の旅行会社の多くは、国の「標準旅行業約款」に基づきキャンセル料などを定めているが、その料金は個々のツアーなどによって異なることもある。
 海外に拠点を置く旅行サイトを利用した場合、日本の旅行業法などは適用されず、返金などの求めに応じてもらえない可能性があることも知っておきたい。

 てるみくらぶのように、旅行会社が突然、経営破綻したら、何ができるだろう。
 旅行業法では、消費者保護策として代金弁済の仕組みを設けている。旅行会社は、取引規模に応じた「営業保証金」を国に預けるか、JATAなどの業界団体に分担金を預けるかの方法で、万が一に備えている。
 JATAによると、過去9年で17社が倒産した(てるみくらぶを除く)が、うち15社では消費者に代金全額が返金された。ただ、てるみくらぶの場合、JATAに納めていた分担金での弁済限度額は1億2000万円。申し込まれたツアー代金の総額は100億円に上るとみられ、全額の返金は難しそうだ。
 弁済金の請求は、JATAに申し出る。審査を経て、申し出額の割合に応じて比例配分された金額が弁済される。(斎藤圭史、及川昭夫)