割り勘アプリで“男女平等社会の幕開け”なるか?

スパイス小町

写真はイメージです

 「男性は女性におごるべきか?」――これは繰り返し議論される命題です。

 「1円まで割り勘にするなんて、ケチな男」という“評価”は、長い間男性を悩ませてきました。ただ、「同じ給料をもらっているんだから、男性だけがおごるのはおかしい」という男性もいるし、女性だって「彼氏でもなく、まったく気のない男の人におごってもらうのは苦手。絶対に払いたい」という人もいます。

 最近、スマホ向けの「割り勘アプリ」が増えてきました。例えば「Any Pay(エニーペイ)」によるアプリ「paymo(ペイモ)」は、レシートを撮影して金額を入力し、あとは宛先を選ぶだけ。請求された側はクレジットカードで支払う仕組みだそうです。

 これが普及するようになれば、「じゃあ、paymoで」と言うだけ。「おごられるのは気持ちが悪い」「おごらないとケチと思われるだろうか?」と悩む男女も減るし、「ここは私が」「いえいえ私が」というレジ前の争いも存在しなくなる。ケチと評判をたてられることもなく「1円単位」までの割り勘も普通にできるのです。

 ひょっとしたら日本の男女平等の概念を変えたりしてね……とちょっと思っています。

発言小町の投稿から割り勘にまつわる「モヤモヤ」を探る

 わからないことは掲示板サイト「発言小町」に聞けということで、早速、「割り勘」を検索。そこに並ぶ投稿を見ると、男女ともに悩んでいることが分かりました。その中から、「これは最近の女性のモヤモヤした気持ちに近いのかな」と思うトピはこちら。

「デートがきっかり割り勘です 」

 「婚活の場で意気投合した男性と何回かデートしました。私自身、男性にご馳走ちそうしてもらえたらうれしいけど、完全男性おごり主義ではありません。むしろ『知らないに等しい女にご馳走するのは、割に合わない』っていう男性の気持ちもわかります。

 質問の男性の事ですが、一回目、夜ごはんに行き、テーブル会計でしたので店員さんが取りに来て、お相手が『大きいのしかないから払うね』と言って払ってくれましたが、店員さんがいなくなってから私がお札で少しだけ多目にお渡しすると、そのまま受け取り、お釣りをくれませんでした。

 2回目の夜ごはんではレジに行く前に、自分が食べた分を『はい』と私に渡してきて、レジで私がまとめて払う感じになりました。

 いい社会人がいつも割り勘で会計するのが嫌なので女の私が全額払って『ここはいいよ』というのはアリでしょうか?」

 ふふふ、オトコマエですね。ようするにデートするような仲の男女なんだから、「デートの割り勘」ってなにか味気ない。そこで「おごらない男はけしからん」じゃなくて「自分がおごってしまえ」という女性です。

 確かに「男女平等」もいいんですが、恋愛のニュアンスとか、駆け引きのドキドキに「割り勘」はちょっと味気ないかもしれませんね。

 逆にこんな彼氏もいます。 「お釣りを返してくれない彼氏」

 「初投稿失礼致します。私→学生(21)  彼→社会人(28) 私と彼は2年の付き合いなのですが付き合い当初からひとつだけ嫌いな所がありました。

割り勘なのはもう慣れたというか…ですが、1600円の会計で1000円ずつ出した時のお釣りを必ずと言っても良いほど彼自身の財布に入れます…完全に私の方が損しています…」

 これに関しては「別れてしまえ」「学生に800円もおごれない男なんて…」と大ブーイング。こういう彼氏は「割り勘アプリで撃退!」というか、やっぱり別れたほうがいいかもしれませんね。お金と愛情って実は似ています。ケチな人は愛情もケチなんですよね……。

 ということで、本当に「割り勘」にまつわる悩みは深い。男女の仲ではない割り勘でも「お酒を飲む人」VS「飲まない人」との戦争が勃発していたり、悩みは深くなっています。アプリはそこまで解決してくれるのでしょうか?

日本発の「割り勘文化」は世界に広がるか?

 だいたい割り勘という「アイデア」は、世界共通なのでしょうか?

 私は10年ほど前にインドネシアに住んでいたことがあり、当時、「割り勘」は珍しがられました。インドネシア人も中国人もインド人も韓国人も、割り勘はしなかった。じゃあ、誰がお金を出すのか?

 私の周りでは、韓国人なら「最年長者」であり、その他の国では「一番羽振りのいい人」という暗黙の了解があったようです。

 「でもさあ、誰が一番羽振りがいいか、どうやったらわかるの?」

 中国人の友人に聞いたことがあります。そこはそれ、なぜかわかるようになっているのです。アジアに住んでいた頃は「その仕事、給料いくら?」「もうかりまっか」的な会話が、初対面でも冒頭にかわされていたような記憶もあります。それは、その場の支払いを誰がするかを探る、ひとつの処世術だったのかと納得しました。

 しかし日本のサラリーマンが「割り勘」をやっているのを見ると、「なんて便利な制度なんだ!」とみんな使うようになる。例えば、韓国人のコミュニティーでは「同じメンバーで出かけてばかりいると、常に同じ人がおごる羽目になる」からですね。よほどの大金持ちでない限り、いつもいつも負担するのはたいへんです。

 日本に住んだことがある人は「割り勘」の魅力を知ります。今、アジアにどのぐらい『割り勘文化』が浸透しているのか? もし浸透しているなら――割り勘アプリがグローバルに普及するかもしれませんね。

白河桃子
白河桃子(しらかわ・とうこ)
少子化ジャーナリスト・作家

 相模女子大学客員教授、昭和女子大女性文化研究所客員研究員。内閣官房「働き方改革実現会議」「一億総活躍国民会議」の民間議員も務める。東京生まれ、慶応義塾大学卒。住友商事、リーマンブラザーズなどを経てジャーナリストに。女性のキャリア、働き方改革などをテーマに発信している。「婚活時代」(山田昌弘共著)で「婚活ブーム」の火付け役となった。著書に「妊活バイブル」(講談社新書)「女子と就活」(中公新書ラクレ)「産むと働くの教科書」(講談社)「格付けしあう女たち」「専業主婦になりたい女たち」(ポプラ新書)など。「仕事、出産、結婚、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。

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