旅行や出張などで留守にする際、気になるのがペットの世話。ペットホテルに預ける手もあるが、環境の変化に弱いタイプの犬や猫なら心配だ。自宅に来て世話をしてくれるペットシッターが助けになるかもしれない。
ペットシッターは、依頼者から自宅の鍵を預かり、留守中に訪ねてペットのエサやり、トイレ掃除、散歩などを行う。事前に依頼者に会い、世話の内容、ペットの性格や体調などを聞き取る。業者によってはペットの様子を写真とともにメールで報告する。
店舗を持たない個人事業主や、多数のスタッフを抱える会社などさまざまだが、シッターは動物愛護管理法が定める「動物取扱業者」で、開業するためには都道府県か政令指定都市に登録しなければならない。
「日本ペットシッターサービス」(東京都武蔵野市)は全国に約130店をフランチャイズ(FC)で展開している。東京都中野区の加盟店「ぽち乃家ペットホームサービス」には年間約6000件の依頼がある。シッターは家庭犬訓練士など民間資格の所有者や酪農経験者ら10人で、ヘビやイグアナの世話もできる。
24時間「看護師」対応 猫専門も

「ケアペッツ」(東京都千代田区)は東京、千葉、埼玉、大阪、群馬、沖縄で直営とFCの計7店を展開。民間資格「動物看護師」の所有者が、高齢の犬や猫の介護、看護にもあたる。東京23区では、24時間365日依頼できる「ペットの救急車」(1回・税別1万6000円)も用意。ただ、動物看護師の稼働状況により応じられない場合もある。
東京都渋谷区の「猫の森」は、同区と新宿区、港区で猫専門のシッターサービスを提供している。シッターは、同社のセミナー「猫の学校」など計100時間以上のカリキュラムを修了した“猫のプロ”。シッターの山田貴子さん(46)は「シッター自身も全員、猫と一緒に暮らしている。猫と飼い主の両方の目線でお世話します」とPRする。
NPO法人「日本ペットシッター協会」(東京都練馬区)は「ペットシッター士」の養成講座を開催。修了者のうち全国各地で開業している約420人を協会のサイトで紹介している。協会独自の賠償責任保険に加入しているので、シッターが業務中に誤って家具を壊した場合などは保険金が出る。
業者の質 見極めて
シッター選びには細心の注意を払いたい。日本ペットシッターサービスの高木浩二代表(54)は、「事前の打ち合わせがいいかげんな業者は避けるべきだ」という。ペットの性格や体調をきちんと把握しているスタッフなら安心だが、動物の知識やシッターとしての技術もないアルバイトを派遣する業者もあるという。
都道府県などに登録していない業者もいるようだ。日本ペットシッター協会の長松定一会長(72)は「動物取扱業者として登録していることを示す標識と、その有効期間を確認してほしい」とアドバイスしている。(安田武晴)