地域コミュニティーアプリで広がる「ご近所づきあい」

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 地域密着型のコミュニティー・アプリを活用して、若い世代を呼び込む工夫をしている団地があります。千葉県八千代市の「八千代ゆりのき台パークシティ」では、PIAZZA(ピアッツァ)というアプリを導入して1年半。様々なイベントを通じて、老いも若きも顔を見知った住民同士が気軽に声を掛け合えるようになってきたそうです。このアプリを通じてゆるやかにつながり合う様子を住民の方々に話を聞きました。

 「今朝、新川沿いをジョギングしてたら、農業交流センター前に白鳥がいました」。パークシティ自治会で防災担当をしている原田光一さんが、スマートフォン向けアプリ「PIAZZA」に写真付きで投稿すると、その日のうちに、「わぁ~、近くに来たんですか?可愛いですね」とコメントが付きました。
 コメントしたのは、同じ団地に住む白井美恵子さん。「原田さんの投稿は、春先だと『団地の中にツクシが生えていました』『場所は秘密です』など、ほっこりする内容です。この町に引っ越してきて、まだ3年の私には教えられることが多いです」と白井さん。写真を見た白井さんは、7歳の長女と一緒に、一足早い春を見つけようと、夢中になってツクシを探したそうです。
 原田さんは「投稿がきっかけで、私たちが住んでいる町、パークシティを好きになってもらえたらうれしいです」と言います。

 アプリ「PIAZZA」は、2015年に設立されたPIAZZA株式会社が提供する地域密着型のコミュニティーアプリです。アプリをインストールして、簡単な自己紹介を登録すれば、だれもが無料で会員になることができます。互いの投稿をフォローし合ったり、直接、メッセージを送ったりできます。
 「PIAZZA」は東京の勝どきや豊洲、武蔵小杉など、若い世代の流入が著しいエリアで導入され、八千代エリアでも、昨年8月にUR都市機構と八千代市、PIAZZA社によってコミュニティー形成に関する3者協定が締結されました。
 同社は地域単位でのコミュニティーアプリを提供し、UR都市機構はコミュニティー活動の場として団地でのリアルな活動を支援、そして八千代市がアプリを通して行政サービスの情報を発信できるという内容です。

団地集会所のリニューアルプロジェクトは、多くの親子が参加したという

 URでは、若い世代の活動拠点にしてほしいと、パークシティ内の集会所を改修しました。このアプリを通じて、参加者を募り、今年2月、プロのペインティングアーティストを招いて、子どもたちも参加し、壁絵を一面に描いたのです。
 殺風景だった光景が、パステルカラーの壁に囲まれたフローリングの明るい部屋に生まれ変わりました。長女と一緒に、このプロジェクトに参加した白井さん。「こんなに楽しい経験はなかなかないですね。顔見知りの人が増えて、この町に住んでよかったと思いました」と言います。
 白井さんは、その後も、ママカフェやおやこ英語教室に参加したり、手作り味噌教室に参加したり。「イベントや教室を通して、子育て世代はもちろん、自分の親世代の方と仲よくなり、自宅に遊びに行くなど交流が広がってうれしいです」と話します。白井さんの親世代の方でも、スマホを持つ人は増えていて、「私が最初お手伝いするだけで、みなさん楽しんで使いこなすようになりますよ」と白井さん。
 アプリには、身近なお店情報や不用品の交換コーナーもあって、不用品については直接、引き取りに行くことができるので、特定の地域に住んでいる人同士、リアルな情報を交換し合える場となっているようです。

 こうしたコミュニティーが、世代を問わず活性化していけば、町の価値そのものが高まっていくことでしょう。PIAZZAの吉澤さんは「いざというとき、顔を見知った人が地域にいるのは大きな安心感です。リアルな生活に潤いをもたらしてくれるような『ご近所づきあい』ができるアプリ運営の在り方を、私たちも模索しています」と話しています。


■UR八千代ゆりのき台パークシティ
東葉高速鉄道東葉高速線・八千代中央駅から徒歩圏内。総戸数776戸の大規模団地。1998年から供用開始。