英会話も料理も上手に! 外国人講師の料理教室に行ってみた

かしこく新生活

 英語を話せるようになりたくて、英会話教室やラジオ講座を受けてみたけれど、長続きしない人も多いのではないでしょうか。私もその一人。でも、料理をしながら英語が身につくのなら? 日本で暮らす外国人が自宅で開く料理教室「Tadaku」(タダク)が、人気を集めていると聞いて、教室に行ってみました。

Tadaku(タダク)って?

 タダクのサービスが始まったのは2013年。日本在住のスペイン人男性らが、仲良くなった日本人の友人に料理を振る舞ったところ、とても好評だったので、このスタイルを他にも広げられるのではないかと思ったのがきっかけだそうです。

 現在、登録している講師数は、77か国、190人。英語か日本語で行われるレッスンが大半で、1講座5000円ほどで講師の母国の家庭料理などを習います。希望するレッスンをタダクのサイトで選び、クレジットカードなどで料金を支払えば予約は完了。レッスンの場所や連絡先は、支払いが終わってからタダクを通じてメールで送られてきます。

 3月上旬、東京都新宿区のマンションの一室で行われたレッスンに、エプロン持参で参加してみました。講師はフランス人のピエールさん。参加費は、料理の材料代や、シャンパン、ワイン、パン、チーズの代金などが含まれて5600円。ピエールさんが使う言葉は主に英語で、日本語はちょっぴり苦手だそうです。反対に、私は英語があまり得意ではありません。不安な気持ちで教室に参加しました。

フランスの家庭料理と文化を学ぶ

 この日は、私を含め女性5人が参加。さっそく自己紹介をして、シャンパンで乾杯です。お酒をいただきながら、フランスの料理や土地柄、お祭りなどについてピエールさんからレクチャーしてもらいました。

 フランス料理と言えば、ワインや生クリームやバターなどを使った濃厚な料理を思い浮かべがちですが、ピエールさんによると、スペインに接する南西部のバスク地方ではスパイシーな味付けが好まれるなど、地域によって料理も異なるそうです。

父親から息子へ、直伝のレシピ

ピエールさんが用意してくれたレシピ。作り方はすべて英語で書かれています。

  この日のメニューは、パプリカとハーブ、チョリソーで作るケーク・サレ(砂糖を使わない塩味のケーキ)、子牛肉とエスプレット(唐辛子)のシチュー、ブラックチェリーのバスクパイの3品。どれもバスク地方の料理で、ピエールさんが父親から教わったものだといいます。

 ずっと聞き役に回っていた私ですが、思わず「フランスでは、男性も料理するんですか?」と英語で質問。すると、ピエールさんから「フランスでは、父親も母親と同じくらい料理をする」という答えが返ってきました。うらやましい!

ナイフをヘタの周りに入れて種を簡単に取り出す方法を教えてくれたピエールさん

英語に不安も、コミュニケーションはスムーズに

 ピエールさんとの会話はすべて英語ですが、わかりやすい簡単な言葉を使って話してくれるので、英語が苦手でも聞き取りやすかったです。また、分からない時は英語が得意な参加者がフォローしてくれ、スムーズにコミュニケーションを図ることができました。

参加者同士で分担してクッキング

 小麦粉を量る時、「オンドレッド」と言ったピエールさん。「ハンドレッド?」と聞き返すと、「フランス語は、『h』を発音しないので、そうなってしまう」。ネイティブでない者同士の英会話も面白い、と思えた場面でした。

 食材を焼いたり、煮込んだりしている間、ピエールさんとは英語で、他の参加者とは日本語で会話を楽しみました。椎名林檎やモーニング娘。などJ-POPが好きなピエールさん。高校生の頃に東京に遊びに来て、日本がさらに好きになったそうです。7年前に来日し、現在は語学学校でフランス語の教師をしています。

 普段も料理するのか参加者から質問されると、「フランスではお店が閉まるのが早いからやるけど、日本はコンビニやファストフード店が深夜まで開いているから、つい外食してしまう」と話していました。

苦手意識が薄れたことが収穫

 そうこうしているうちに料理が出来上がりました。すべての料理が完成するまで2時間半ほど。どの料理も簡単で作りやすいものばかりで、思わず「It’s easy!」と言うと、「フランス料理って高価で難しいと思いがちだけど、家庭料理は簡単ですよ」とピエールさん。

 出来上がった料理はピエールさんが一つずつ盛り付け、サーブしてくれます。作った料理に加えて、パンとブリーチーズ、そしてワインも振る舞ってくれました。

あっさりとした味わいのケーク・サレ。「ボナペティ」とピエールさん

 ビーフシチューはあっさりとしながらもハーブが利いていて、フランス料理のレストランとはひと味違ったおいしさ。おなかがいっぱいになりました。

 今日が初参加だったという斎藤照美さん(53)は「フランスの家庭料理を学べて良かった。英語も8割方理解できて、勉強になりました」と話していました。

 約4時間にわたったレッスンで、料理を味わい、日仏の食事や文化の違いを知ることができて、つかの間のホームステイ気分を味わえました。ピエールさんと会話できたことで、英語に対する苦手意識も少し薄れた気がします。

 Tadakuだけでなく、最近はレストランのシェフが自国の料理を教えるなど、料理を通じて外国語と接するサービスがいろいろ登場しているよう。機会を見つけて、何度か通ったら、英語も料理もさらに上達するのでは。そんな期待を抱かせてくれました。

この日作った料理

ケーク・サレ(左上)、シチュー(右上)、バスクパイ(左下)、ピエールさんが用意してくれたパンとチーズ(右下)

(読売新聞メディア局編集部・山口千尋)