ターゲットは「子ども」!? ジュエリー業界の新戦略

ジュエリーを楽しむ

 婚約や結婚、自分へのごほうび、大切な人へのプレゼント……。ジュエリーは、人生の様々なシーンを華やかに彩ります。しかし、宝飾品の市場は、バブル期の3分の1まで縮み、競争が激しくなっています。その中で「子ども」をキーワードに、需要を掘り起こすブランドがあります。思わず財布のひもが緩んでしまう、その戦略とは?

親子でジュエリー作り

 11月初旬、東京・自由が丘にあるジュエリーショップ「ケイウノ」に、4組8人の親子が集まりました。店舗に併設された工房で、親子が一緒にペンダントトップを作る「ママ友 ジュエリーDIY体験会」が開かれたのです。

 「シード」と呼ばれる丸い銀の粒をトンカチでたたいて板状に薄く延ばし、バーナーであぶります。「黒くなってきた」と興味津々の子供たち。

 好きな模様が入った型を選び、銀の板と型を一緒にローラーにかけて、模様を写せばできあがりです。参加した佐藤玲子さんは、「4歳の娘も楽しんでくれました。もう少し大きくなったら、一緒に作ったものを娘にプレゼントしたいです」と話していました。

 「ケイウノ」を運営するジュエリー製作・販売会社「ケイ・ウノ」(本社・名古屋市)は、ブライダルを中心に、オーダーメイドのジュエリーを販売しています。結婚件数の減少などを受け、ブライダルジュエリーの売り上げが頭打ちとなる中、子供のためのジュエリーという新しい分野を開拓しようと、親子イベントを企画したそうです。ケイ・ウノ広報の川村めぐみさんは「参加者からの評判がとても良かったので、普段提供できるサービスとして、準備を進めていきたい」と話していました。

◆「母から娘へ」がコンセプト

プラチナ・ジュエリーシリーズ「マザー・プラチナ」

 自分のためだけに購入するのはちゅうちょしても、「娘も身につけてくれる」と思えば、買いやすくなるのが親心ではないでしょうか。プラチナ・ジュエリーの広報機関「プラチナ・ギルド・インターナショナル」(東京都千代田区)と、国内最大手のジュエリー販売チェーン「As-meエステール」(同港区)は、「母から娘へ、受け継がれる永遠の絆」をコンセプトに共同開発したプラチナ・ジュエリーシリーズ「マザー・プラチナ」を販売しています。時間がたっても劣化しにくい特性を持つプラチナを使い、年齢を問わないシンプルで洗練されたデザインで、2013年の販売開始以来、好調な売り上げが続いています。

◆婚約、結婚…次につなげられるか

 矢野経済研究所の調査によると、1991年に約3兆円だった国内宝飾品(ジュエリー)の市場規模は、2016年には9413億円と3分の1以下に減っています。ジュエリーを購入するきっかけの一つとなる結婚について、16年の婚姻組数は約62万1000組で、前年に比べ1万4000組も減少しました。縮小する需要を多くの企業が奪い合う状況です。
 時計美術宝飾新聞社の藤井勇人編集長は「昔から『母親のジュエリーを子どもに受け継がせる』などの考えはありましたが、数年前から『受け継ぐ』を戦略的に打ち出すブランドが増えてきているのを感じます」と指摘。「婚約や結婚だけではジュエリーが売れなくなっている昨今、結婚・婚約指輪で購入してくれた人を、その後の販売にどうつなげていくのか。その場限りにしないことが、ジュエリー業界で生き残るための鍵を握りそうです」と話していました。