寝つきが悪いのは合わない枕のせい?

 心地よい眠りに誘ってくれる「運命の枕が見つからない」と悩んでいる人は多いはず。寝具メーカー「ロフテー」で、広報担当の笹本志乃さん、企画部の「睡眠改善インストラクター」藤田友里子さんに枕選びのコツを聞きました。

枕の高さは合っていますか?

――なぜ枕は必要なのですか?

体に一番負担が少ない姿勢(ロフテー提供)

 体に一番負担の少ない姿勢はリラックスしている立ち姿と言われています。この時の顔の角度は約5度。寝ている時にもこの状態を保つことが理想的です。枕の役割は、寝ている時、敷ふとんと頭部、頚部の間にできるすき間を埋めることです。すき間は体形によって個人差があるため、人によって適切な高さが変わってきます。

理想的なかたち(ロフテー提供)

――眠っても疲れが取れないのは、枕が合わないからでしょうか?

 男女の筋肉量の違いもありますが、昔と違って日本人の骨格も変わってきました。正座をする機会が少なくなり、横から見て背筋のS字カーブがゆるやかになってきました。昔はそばがらなどの高さがある枕が中心だったのですが、現代人の首には負担となり、昔から使っている枕が合わなくなってきた可能性があります。

――最近は、スマートフォンの影響も指摘されていますね。

スマホを長く使うため、頭を下げた不自然な姿勢が続く「スマホ首」や、「ストレートネック」のように、本来S字になっているはずの頸椎が真っ直ぐになっている方も多く、首を支える部分が高すぎる枕だと首か痛くなってしまうのです。

高い枕をしていると、枕と敷ふとんの間にすき間ができて、約7時間の就寝中、ずっと首で頭部を支えることになります。肩や腰の骨はつながっていますし、頭痛や肩こり、いびきの要因のひとつになります。そんな方には低めの枕をお勧めしています。

理想の枕を選ぶには?

――自分に合う枕を探すポイントは?

 素材はお好みですが、羽根、わた、そばがらなどの天然素材、ウレタン、パイプなど様々なものがあります。ロフテーがお勧める重要なポイントは、自分に合った枕の高さです。また、頚部を支え、横寝、寝返りがスムーズにできる形状を選ぶことが理想です。

やわらかめ、かため、10種類の素材から好みの物を選べる(ロフテー提供)

――長い枕と短い枕、どちらがいいですか?

 寝返りを打った時に、枕のサイドまでの距離があると安心感があります。自分の肩幅の1.5倍の長さの枕をお選びいただくのが理想的です。

――実際の枕選びのチェック項目は?

 弊社では、社内の認定試験をクリアした「ピローフィッター(R)」が枕選びのサポートを行います。まず、コンサルティングシートに、睡眠・寝具についての項目を記入していただきます。
1.現在使用している枕の素材、2.子どもの時に使っていた枕、3.寝付く時の姿勢、4.現在の枕の使用期間、5.現在の寝具(ベッドまたはふとん、かためかやわらかめか)6.睡眠時の体の悩み(冷え性、汗かき)7.気になる自覚症状(肩こり、腰痛)など、ご記入いただいた項目を見た上で、首後ろの深さの形状を計測し、それぞれの首のカーブの深さにあった5段階の高さの枕をご提案します。

首を5度傾けた時の形状を計測
首の後ろのカーブの深さは2.58センチでした
枕とベッドのすき間をチェック
横向きに寝た時、首筋から背骨までが一直線になるのが理想的

――特に肩こりがひどいのですが、枕の高さはどのようなものを選べばよいでしょうか?

 高すぎても肩に負担がかかりますし、低すぎても頭が下がってしまいます。

サイドが高くなっていて、中央が低くなっている。五つのパーツで中身の片寄りが少なく、仰向けでも横向きでも頭と首を支える「頚部支持構造」の枕1万800円(税込み)から(ロフテー提供)

――枕の買い替えのタイミングは?

 素材にもよりますが、羽根やわたなどは1、2年でへたってきます。パイプですと3、4年で見直すことをお勧めします。

――メンテナンス方法は?

 パイプ素材ですと中身を洗うことができます。羽根やわたなどの天然素材は週に1度くらい陰干しが必要になります。ポリエステルわたは手洗いができます。どちらにせよ、定期的に陰干しすることが長持ちの秘訣ひけつだと思います。

――旅先のホテルの枕が合わない場合はどうしたら?

 低い場合は下にタオルを敷いて高さを調節してください。高い場合は、枕をはずしてバスタオルをお好みの高さに折って敷いて簡易的に枕を作っていただくとよいと思います。

――その他の注意点は

 枕をご購入の際は、あらかじめ自宅のベッドのマットレスのかたさを把握していただいて、枕の高さを選んでいただきたいと思います。

「エアウィーブ」の素材を取り入れた、美容家・佐伯チズさんが女性のために監修した「ビューティー・ピロー」2万4840円(税込み)

 枕選びのポイントは、素材や大きさに加えて、何より高さがポイントだということがわかりました。自分の首の形状や体形に合って、寝返りが打ちやすい物を選びましょう。(取材:遠山留美)