ファッション×アート 高級ブランド店で楽しむ才能のきらめき 

アート時間

©Nacasa&Partners Inc./Courtesy of Fondation d’enterprise Hermes

 東京でアートを楽しむ場所は、美術館や画廊だけではありません。エルメスやシャネルなどラグジュアリーブランドの店舗でも、アートの世界へといざなってくれます。

エルメスで現代アートと映画 

 東京・銀座5丁目にある銀座メゾンエルメスは、2001年にオープンしたエルメスの旗艦店。エレベーターを8階で降りると、都会の喧騒けんそうを忘れさせてくれる空間が現れます。

 この展示スペース「フォーラム」では年4回、現代アートの展覧会が開かれます。10月31日まで開催中なのは「エマニュエル・ソーニエ展」。ガラスを使った作品で知られるフランス人アーティストで、今回はジャズ・ピアニスト、セロニアス・モンクにささげる作品を披露しています。

©Nacasa&Partners Inc./Courtesy of Fondation d’enterprise Hermes

 2010年に亡くなったエルメス5代目で社長も務めたジャンルイ・デュマ氏は、人の生み出すものと技に常に尊敬の念を抱き、「芸術は空気のような存在であるべき」と考えていたそうです。その思いを反映したこのビルの10階には40席の小さな映画館もあり、通好みの秀作を上映しています。

シャネルで写真展とコンサート

 芸術家を支援したフランスの女性デザイナー、ココ・シャネルの精神が息づいているのは、東京・銀座の旗艦店「シャネル銀座」。4階にある「ネクサスホール」では、写真展を中心に、年4回の展覧会が開かれます。

 レイモン・ドゥパルドンや荒木経惟、カール・ラガーフェルドやロバート・メイプルソープなど、大御所から若手までの様々な作品を紹介。いずれも新作や新たに編集し直した、日本であまり見る機会のない作品ばかりです。写真家を取り上げるのは、写真がフランス発祥だということも理由のひとつだそう。来年1月17日からはフランク・ホーヴァットの写真展を開催予定です。

 同ホールでは、若手アーティストに発表の機会を提供する音楽プロジェクト「シャネル・ピグマリオン・デイズ」も開かれていて、無料でコンサートを楽しむこともできます。

ルイ・ヴィトンで現代アートの映像作品

 ルイ・ヴィトン表参道店の7階にある「エスパス ルイ・ヴィトン東京」も、現代アートの作品を楽しむ空間です。来年3月11日まで、中国の映像アーティスト、ヤン・フードン(楊福東)の映像作品が披露されています。

© Yang Fudong. Photo Fondation Louis Vuitton / Martin Argyroglo

 さらに、店内では10月31日まで、吉岡徳仁ら人気デザイナーが「旅」をテーマにデザインした椅子などのプロダクトも展示されています。

 ラグジュアリーブランドとアートには、実は深い関わりがあります。

 アートを資産として集めて保存したり、次代の才能を発掘して支援したりすることが社会貢献となり、ひいてはブランドイメージの向上にもつながると考えるところが少なくありません。エルメスやルイ・ヴィトン、カルティエなどは、本国でアートに関わる財団を運営。グッチやボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガなどのブランドを傘下に置く企業グループ、ケリングは2019年、パリに現代アートの美術館をオープンさせる予定です。

 また、服やアクセサリーなどの商品自体をアーティストと協業して発表することが増えてきています。時代の空気を読み取るアーティストの活動は、デザイナーの精神と共鳴し、時代を先取りする新しい美意識や価値観のもとになっています。