「ジャポニスム」西洋から見たHOKUSAI

葛飾北斎 《冨嶽三十六景 凱風快晴》天保元-4年(1830-33)頃 横大判錦絵 オーストリア工芸美術館、ウィーン MAK – Austrian Museum of Applied Arts / Contemporary Art, Vienna Photo: ©MAK / Georg Mayer

 最近よく耳にする「ジャポニスム」と言う言葉。これは、19世紀後半、西洋の芸術家たちが日本の浮世絵や工芸品などからヒントをもらい、新たな表現を生み出した現象のこと。海外での評価が高い伊藤若冲や葛飾北斎らの作品が里帰りするのに伴い、注目ワードになりつつあります。

 葛飾北斎の場合、彼の作品は、モネ、ドガ、セザンヌ、ゴーガンら、名だたる画家たちに影響を与えたと言われています。

 例えば、「踊り子の画家」と言われたドガ。

 左が北斎、右がドガの作品です。え? お尻を出している力士がキレイなバレリーナの絵に影響なんて与えたの? 意外に思えますが、その答えはポーズにあり。「北斎漫画」に出てくる、何げない動きをとらえた姿は、ドガの人体表現に対する探求心を刺激しました。踊る姿でなく、あえて後ろから腰に手を当てる日常を描いたポーズに北斎の影響が見えます。私たちも写真を撮るときは、ポーズを決めたり、顔の表情が写るようにしたりしてしまいますもんね。

  モネの場合は、北斎から「テンポ」を学びました。

 左が北斎、右がモネ。モネは、ポプラの木立を繰り返し描きましたが、この「陽を浴びるポプラ並木」は、構図にリズム感があります。木々が直線にテンポ良く並ぶ描き方は、北斎が描いた松並木から学んだものでした。

 一番奥にメイン=富士山がある。そんな表現の仕方も、「スゴイ」と思う西洋の人がいたかもしれませんね。

 また、北斎の構図も斬新だったようです。

 このくつろいでいる布袋ほていさん。これが、女の子と関係があるの? と意外に思う組み合わせです。

 北斎が西洋に知られる以前は、幼い女の子は行儀の良いポーズで描かれていました。しかし、北斎漫画が知られるようになってからは、ちょっと意外な一面も絵になりました。決めポーズではなくても芸術は成立するのだよ、という考え方。北斎漫画は、人間味あふれる女の子の一面を引き出すヒントになったのかもしれません。

 こうやって比較すると、印象派の絵画がとても身近に感じられてきますね。

 難しそうに思えるジャポニスムも、日本人が海外にどう影響を与えたかを見比べるうちに、おもしろさがじわじわと伝わってきます。「北斎とジャポニスム」展は、世界中の美術館や個人コレクターが所蔵する作品を担当スタッフが何年もかけて集めた渾身こんしんの展覧会です。西洋の名作が約220点、北斎の作品が約110点も鑑賞できます。

 

「北斎とジャポニスム展」(2017年10月21日(土)~2018年1月28日(日))
http://hokusai-japonisme.jp/