義兄が愛犬をリングドッグにごり押し…自分の結婚式でやればいいのに!

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2020年から2021年にかけて、結婚式を中止もしくは延期するカップルが相次ぎました。ブライダル業界は大きな打撃を受けましたが、2022年に入ると状況が一転、結婚式の予約が増えているそうです。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」にも、結婚式を来年3月に控える30代女性が相談を寄せています。「義兄が原因で結婚式の準備、めています」――タイトルから穏やかじゃありません。

「犬が持ち込み禁止なら、式場を変えれば?」

いざこざの発端は、新郎の兄(義兄)から「結婚式で自分の飼っている犬にリングドッグをやらせたい」と提案があったことです。義兄の申し出を承服できない女性は、「私の結婚式でリングドッグができない五つの理由」を並べ、説得を試みます。 

〈1〉義兄が飼う犬で私には何の思い入れもない
〈2〉重度の犬アレルギーを持つ招待客がいる
〈3〉実家の飼い犬が死んだばかりで犬を見るとつらい気持ちになる人がいる
〈4〉予約している式場が動物の持ち込み禁止
〈5〉義兄が結婚する時に自分の式でやればいい

ダメな理由をこれだけ並べれば、ぐうの音も出ないかと思われましたが、「兄がやりたいと言っているから、やらせてあげればいいじゃん」と軽やかに援護に回ったのは、なんと新郎でした。「リングドッグをしたら、かわいいからやらせるべき」と義兄を支持する新郎側の家族は、「犬が持ち込み禁止なら、式場を変えれば?」とたたみかけます。

このトピには100件を超えるレスが寄せられました。リングドッグを押し通そうとする新郎や義兄の態度を批判する意見が多く、トピ主の女性を哀れむ声が相次ぎました。「困った親戚が近くにいると、本当に苦労しますよ。よくよくお考えになった方がいいかと」と気をもむ人も。「先が思いやられる」と夫の家族との関係を心配し、婚約破棄や離婚を勧める書き込みもありました。

リングドッグの演出について断固拒否を表明した「PINK」さんは、「リングドッグ? なにそれ? 私だったらふざけないでほしいと婚約者に言います」と怒り心頭。それもそのはず、「自分の結婚式くらい、自分が主役になりたい」と本音を明かします。

「慣れない場所、知らない人、変な匂い、ザワザワした音、強烈なライト、もう興奮状態じゃないかな」と犬の気持ちを代弁したのは「四槓子(スーカンツ)」さん。「愛犬家なら、かわいい犬にそんなことさせたくないわ」と言い切りました。

犬だけじゃない!結婚指輪を運ぶ愛の使者

通常、挙式で指輪を運ぶのは男の子「リングボーイ」の役割とされています。バージンロードに花びらをまく女の子「フラワーガール」とのペアで式を華やげる趣向です。幼い甥や姪の活躍の場となりますが、親族に男の子がいない場合は、女の子が指輪を運ぶ「リングガール」も珍しくありません。

この大役を愛犬に任せるのがリングドッグです。ドレスやタキシードで着飾った愛犬が、新郎新婦の元へ結婚指輪を運ぶ様子は「SNS映え」間違いなし。献身的な愛犬の姿に、会場は「かわいい!」「がんばれ!」という声援に包まれ、飼い主にとっては胸がいっぱいになる瞬間です。

大切な指輪を運ぶ愛の使者は、犬に限りません。猫、豚、ウサギ、アルパカ、フクロウなどの例もあり、扉の向こうから何が出てきてもおかしくありません。

結婚式の演出に詳しいウェディングプランナーの岡村奈奈さんに、ペット連れの結婚式が行われるようになった事情や、リングドッグなどの動物を使った演出を取り入れる際の注意点を聞きました。

岡村さんは、「10年ほど前から結婚式場の多様化が見られ、邸宅、キャンプ場、電車など、それまでにはなかったありとあらゆる会場が選択肢に加わりました。その流れの中で、ガーデンウェディングに愛犬を参加させたり、結婚指輪を犬に運ばせたりする演出が登場しました」と経緯を説明します。

ペット参加型ウェディングには、前撮りでペットと一緒に写真撮影、結婚指輪を運ぶリングドッグ、結婚誓約書に肉球スタンプを押す承認犬(猫)などがあります。「愛犬家のカップルがペットの参加を強く望まれる場合は、希望に合った演出や式場を選びます」と岡村さん。

リングドッグなどでペットを結婚式に参加させる場合、岡村さんは五つの注意点を挙げます。

〈1〉ペットを使った演出について、新郎新婦2人の意見が合っている
〈2〉結婚式・披露宴の間、ペットの面倒を見るシッターを頼む
〈3〉ゲストにペットの参加を事前通知、もしくは了承を得られることが確実
〈4〉犬が歩かなかった場合などのトラブルの対応方法や代替プランを用意
〈5〉レンタルドレスでペットを抱っこしない

リングドッグなどで結婚式の演出を任される犬もいる
写真はイメージです

新たに定番となった結婚式の演出

結婚式の演出は、時代とともに変化しています。最近では、新婦の母親がフェイスベールをおろす「ベールダウンの儀式」、新郎の父親がタキシードを着せる「ジャケットセレモニー」を、入場直前の扉が開かれた状態で行うのが定番になっているそうです。本来、控え室で行われる新郎新婦の「最後の身支度」を演出に加えることで、バージンロードを歩く新婦の父以外にもスポットライトが当たります。

岡村さんは、「最近のカップルは、結婚式で会場の一体感や調和を重視する傾向があります。招待したゲストが誰一人としてイヤな気持ちにならず、全員がハッピーになるような演出が好まれます。リングドッグをやる場合は、動物の苦手な人がいないことが前提となります」と強調します。

インスタグラムやYouTubeなどで他人の結婚式や披露宴を見る機会も増えたため、「イイネ!を集めていたリングドッグをやりたい。犬とかいたほうが盛り上がりますよね。犬を飼っていない場合はどうしたらいいか」と相談されされたケースもあったといいます。「結婚指輪は、誰かが運ばなければいけないわけではないのですが・・・・・・」

涙を誘う新婦から両親への手紙、新婦が新郎にケーキを食べさせるファーストバイト、母が手作りしたリングピローなど、「結婚式の定番とされる演出やアイテムは、どれも『必ずしなければならない』ということはありません。親族や経験者から『あれをしろ』『これがいい』と助言があるかもしれませんが、何よりも大切なのは新郎新婦2人の希望です。自分たちらしい結婚式になるように2人で話し合ってください」とアドバイスします。

(読売新聞メディア局 鈴木幸大)

【紹介したトピ】義兄が原因で結婚式の準備、揉めています。

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岡村奈奈
岡村 奈奈(おかむら・なな)
ウェディングプランナー

オーソドックスなスタイルから、アウトドアや音楽ホールで行うユニークなウェディング、伝統的な和婚などオールマイティーに対応。カウンセリング型のプランニングに定評がある。執筆、監修、メディア出演多数。著書に「結婚する子どものために 親がすること、できること」(日本文芸社)「WEDDING IDEAS BOOK ウエディングプランナーが教える、結婚式と準備が“もっと”楽しくなる方法」(誠文堂新光社)。岡村さんのホームページはこちら

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