「映画はアリスから始まった」世界初の女性監督、映画史から消された功績

世界初の女性監督、フランスのアリス・ギイのドキュメンタリー。映画の創成期に活躍しながら、忘れ去られた功績が8年以上をかけた取材で明らかになる。驚きと感動をもたらす力作だ。

1895年。リュミエール兄弟が発明した映写機で初めて“動く写真”を見たアリスは、「記録するだけでは退屈、映画で物語を作ったらどうか」と思いつく。翌96年の劇映画「キャベツ畑の妖精」を手始めに、コメディーや恋愛劇など多彩な作品を撮った。渡米し、映画製作会社も経営。生涯で、1000本近くの作品を手がけたとされる。

「映画はアリスから始まった」
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映画はアリスを取り上げたテレビ番組に感銘を受けたパメラ・B・グリーン監督が、足りない資料や、親族らを探す旅路を記録する形で進んでいく。中心は本人と娘の貴重な証言。復元した映像や現代の映画人の評価も交え、生涯を浮かび上がらせる構成に無駄がない。膨大な取材量と的確な素材の選択、テンポの良い編集が光る。故に、行方不明だった作品群の発見に至る感動を倍増させることに成功している。

驚いたのはクローズアップや着色、映像と音声の同期など、後の映画につながる技術や発想をアリスが次々と生み出していたこと。彼女の名が男性優位の映画史から排除された過程を暴いた点も特筆すべきだ。語り継がれるべき偉業と、悲しく、忘れられてはいけない真実も込められている。ナレーションはジョディ・フォスター。

(読売新聞文化部・松田拓也)

映画はアリスから始まった(米)1時間43分。アップリンク吉祥寺。公開中。

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