「WANDA/ワンダ」伝説の傑作が日本初公開、斬新でリアルな女性像

1970年製作だが日本初公開。巨匠エリア・カザンの妻で、48歳で早世した女優のバーバラ・ローデン唯一の監督作であり、脚本・主演作。当時は珍しかった女性監督の作品は、一時はほぼ忘れられたが、その後、世界の映画人たちに絶賛され、伝説化した。米インディペンデント(独立系)を代表する傑作である。

ペンシルベニア州の炭鉱町。ローデン演じる主婦ワンダは、育児放棄で夫に離婚訴訟を起こされ、家から追い出される。縫製工場で働こうとするが断られ、酒場で声をかけてきた男に付いて行くが逃げられる。映画館で眠ってしまい有り金を全て盗まれる。何もかも失って夜の町をさまよううち、バーで男(マイケル・ヒギンズ)と出会う。男は強盗で、ワンダにも犯罪を手伝わせようとする。

犯罪を重ねる男とワンダのロードムービーだが、ロマンチックな逃避行ではない。男は暴力的で彼女を手荒く扱う。彼女が離れないのは行くところがなく、その方が楽だから。無気力で受け身。何を考えているのか分からない。そんな主人公が斬新でリアルだ。

映画「WANDA/ワンダ」
(C)1970 FOUNDATION FOR FILMMAKERS

今年亡くなった映画評論家の佐藤忠男は、「映画はうぬぼれ鏡」だと論じた。普通、主人公たちは観客の理想像だ。ワンダはそんなヒロインたちとまるで違う。多くの観客たちの「顔」そのままだ。手持ちカメラで撮影された映像は荒々しいが美しくスタイリッシュで、米国の現実を生々しく映し出している。

(読売新聞編集委員 小梶勝男)

WANDA/ワンダ(米) 1時間43分。渋谷・シアター・イメージフォーラム。公開中。

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読売新聞文化部の映画担当記者が、国内外の新作映画の見どころを紹介します。
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