「飛行機に赤ちゃん乗せるな」に不安…子連れフライトの注意点は?

「飛行機に赤ちゃん乗せるな」――。機内で泣き止まない赤ちゃんにうんざりしたという苦情をSNSで見かけることがあります。今夏はコロナで控えていた帰省やレジャーに出かける「リベンジ旅行」の活況が見込まれ、乳幼児を連れた飛行機旅行を計画している人もいるでしょう。赤ちゃんを飛行機に乗せるときの注意点や準備について、産婦人科医で6人の子を持つ吉田穂波さんに聞きました。

日本航空(JAL)、全日空(ANA)、スカイマーク(SKY)、AIRDO(エア・ドゥ)の航空各社によると、飛行機に乗せられる赤ちゃんの年齢はいずれも生後8日以降と定めています。それぞれの航空会社で赤ちゃんや子ども連れの搭乗客へ、優先搭乗、ミルク作りの手伝い、専用毛布の貸し出し、おもちゃや塗り絵などのサービスを実施。バシネット(赤ちゃん用簡易ベッド)やチャイルドシートを用意している航空会社もあります。

気になる赤ちゃんの体調変化と周囲の視線

赤ちゃんを飛行機に乗せる際の注意点について、産婦人科医の吉田さんは「健康上のケアと社会的なケアという二つの配慮が求められる」と指摘します。

一つ目の健康上のケアは、飛行機による移動が小さな体に負担となったり、健康を害したりするのではないかという不安への対応です。これに対し、吉田さんは「気圧の変化や機内の乾燥が気になるということはあっても、飛行機に乗せることで健康な赤ちゃんの体調に悪影響を及ぼすことはありません」と話しています。

 飛行機の離着陸時は気圧の変化で、耳がツーンと痛くなったり、詰まったような違和感があったりします。この時、唾液を飲むなどの耳抜きが自分でできない赤ちゃんは、痛みや不快感で泣き叫ぶことがあります。また、結露対策で湿度を低く抑えている機内は、空気がカラカラに乾燥しているため、肌がかさついたりかゆみを感じたりすることがあります。

「離着陸のタイミングに合わせて授乳をすれば耳抜きの効果がありますし、赤ちゃんもリラックスした気分になります」と吉田さん。「機内の乾燥がひどいと赤ちゃんがムズムズと不機嫌になる可能性があります。ベビーオイルやワセリンなどで肌を保湿するといいでしょう」とアドバイスします。

「赤ちゃん飛行機乗せるな」そんな苦情の心配に準備や対策を医師がアドバイス
写真はイメージです

「赤ちゃんが泣き止まなかったらどうしよう」

 二つ目の社会的なケアについては、赤ちゃん連れの搭乗客に対する周囲の理解です。「泣き止まずに迷惑をかけたらどうしよう」「ほかの客からとがめられないだろうか」――。赤ちゃん連れの家族は周囲の視線におびえたり、肩身の狭い思いをしがちです。

吉田さんは「周囲に迷惑をかけまいと親が過剰に緊張していれば、赤ちゃんも普段とは違う様子に落ち着きません。いつも抱っこされている親の腕の中でゆったりと安心できる状態にしてあげましょう」と話し、親の心理状態が赤ちゃんにも影響すると説明します。 

子ども連れの飛行機旅行で、吉田さんが心がけているポイントが五つあるそうです。

〈1〉トイレやオムツ替えに行きやすいように通路側の席を予約
〈2〉飛行機に乗ったら、すぐに周囲の客に赤ちゃんを紹介。「泣いてしまったらすみません」などとあいさつ
〈3〉普段使っているブランケットやおくるみを持っていく
〈4〉音の出ないおもちゃをたくさん用意
〈5〉嘔吐などで汚れてもいいように、親の着替えを用意

このほか、吉田さんは不測の事態に備えて、とっておきのサプライズも用意するそうです。「子どもが今まで一度も見たことがない、特別なおもちゃやお菓子をこっそり隠し持っていきます。長時間のフライトに飽きてぐずりそうになったら、奥の手としてこれを出せば、30分くらい機嫌良くいてくれますね」と自らの経験を振り返ります。搭乗する航空会社へ事前に問い合わせ、受けられるサポートを確認することで不安解消にもつながると言います。

吉田さんは「機内には赤ちゃん連れに嫌悪感を抱く人ばかりではなく、何かあれば手を貸そうと見守ってくれている人もいます。困ったことがあれば、周囲へ助けを求めるのをためらわないでほしい」と人を頼るスキルの必要性を強調します。

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吉田穂波プロフィル写真
吉田 穂波(よしだ・ほなみ)
産婦人科医師

医学博士・公衆衛生学修士、神奈川県立保健福祉大学教授。日・独・英で約20年の臨床経験ののち、行政機関での勤務を経て現職では公衆衛生学を教える。4女2男を国内外で妊娠・出産・子育てする傍ら、母子保健領域の専門家として、また子育て当事者として、人生の基盤となる乳幼児期の健康サポートに情熱を傾ける。『社会人に最も必要な「頼る」スキルの磨き方』(KADOKAWA)をはじめ、著書多数。

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