サンナ・マリン首相ら女性政治家が活躍するフィンランド、その理由を聞いた

30代で活躍する女性リーダーとして世界的に注目を集めているフィンランドのサンナ・マリン首相(36歳)。彼女を支える連立政権の党首は全て女性です。なぜ、この国では女性が活躍できるのか? フィンランド大使館のレーッタ・プロンタカネン参事官に、背景を伺いました。

連立政権の党首は全て女性、3人が政権発足後に出産を経験

フィンランドはサンナ・マリン氏を首相とする5党の連立政権で、政権発足時、党首は全て女性。4人が40歳以下で、このうち3人が政権発足後に出産を経験しているといいます。

出産育休を取った党首の中には、党首選に立候補する段階で妊娠を公言し、当選すれば出産と育児で休むことがわかりながら、それでも支持されて再選した人もいたといいます。

フィンランド連立政権の党首。5人とも女性(サンナ・マリン首相のインスタグラムから)
政権発足時のフィンランド連立政権の党首。5人とも女性(サンナ・マリン首相のインスタグラムから)

プロンタカネン参事官は「国のリーダーたちが育児休業を取っていることを見ても、いかにそれが自然に受け入れられているかを表している」と話します。

共働き家庭に配慮…朝食付きの保育園

フィンランドでは、すべての子どもたちに保育園を用意することが自治体の義務になっています。すぐ見つからなければ当面は自宅から遠い保育園になってしまうというケースもありますが、日本における「待機児童問題」はほとんどない、といいます。

さらに一部では朝食付きの保育園もあるといいます。共働きで子供が保育園に入るようになった時、「朝食を準備して子どもに食べさせて後片付けをする」という手間が省略できるだけでも大きなサポートになりそうです。

大学卒業までの学費が無料

フィンランドでは大学を卒業するまでの学費が無料です。親の学歴や収入で教育機会が奪われることがないようにするためで、プロンタカネン参事官は「すべての国民に平等の機会を与えることが社会の基盤であり、大切な価値観となっています」と話します。

東大で講演するフィンランドのマリン首相(5月11日、木田諒一朗撮影)
東大で講演するフィンランドのマリン首相(5月11日、木田諒一朗撮影)

女性の政治家を多く生み出す背景を聞いてみると、プロンタカネン参事官は国民と政治の距離を詰める取り組みが学生時代から行われていることを挙げました。

例えば高校では実際の候補者名を対象にして、「なぜ、どの候補者を選ぶのか」といった議論を行い、さらに実際に投票が行われた後、支持した候補者が落ちた場合、それについても議論を交わすなどして、政治への学びの機会を設けているといいます。

また、女性の選挙権、被選挙権の導入が1906年であったことも挙げました。日本よりも約40年も早いのです。現在、フィンランドの国会議員の女性比率は45.5%になっています。プロンタカネン参事官「(女性が活躍できる社会は)手品のように一瞬にして築かれたものではなく、男性の意識も含め、長い年月が費やされてきた結果」と話しています。

フィンランドの手厚い制度は、日本よりも高い税金を払うなど、国民の「高負担」が背景にあり、単純に比較することはできませんが、日本と違って女性政治家が多く誕生する背景には、それを支える制度や国民の意識の違いがあることがわかります。(メディア局編集部 河合良昭)

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