おしゃれな空間にはいつもあいつが…ドウダンツツジが最強な理由

蒸し暑くなってくると、涼しげなグリーンを見てホッと一息つきたくなります。気温が高くなると日持ちしなくなる花に比べ、近年人気となっているのが、ドウダンツツジなどの「枝もの」と呼ばれる切り枝です。東京都港区の老舗生花店・青山花茂はなも(AOYAMA HANAMO)に話を聞きました。

コロナ禍以降、枝ものの人気は高まっています。花き卸売り大手の「大田花き」によると、2021年の取扱量は、コロナ禍前の2019年と比べて15%増えました。ドウダンツツジの入荷本数は2019年比49 %増加、ドライフラワーでも楽しめるユーカリも同じく49%伸びています。

ドウダンツツジは「灯台躑躅つつじ」「満天星躑躅」と表記されることがあります。枝分かれの様子が「結び灯台」(昔の室内照明具)に似ていることから「トウダイツツジ」とされ、「ドウダンツツジ」になまったという説があります。

コスパ最強な三つの理由

青山花茂5代目の代表取締役社長の北野雅史まさひとさん(39)によると、この時期に問い合わせが多いのは、ドウダンツツジ。人気の理由は、〈 1 〉ビジュアル〈 2 〉価格〈 3 〉手入れの簡単さにあると言います。

ドウダンツツジは、5月の新緑の季節から10月後半の紅葉の季節まで、取り扱いがあります。「インフルエンサーなどがインテリアに使用した写真をインスタにアップし、人気になったのではないでしょうか。細い枝ぶりと小さい葉っぱが涼しげ。繊細さがとくに日本人女性に好まれているようです」と北野さんは分析しています。

価格は、1メートルで1000円といったところ。「野生の枝は、自然の風を受けて枝ぶりがすばらしい。長さのあるものは山深いところに行かないと生えていないので、値段が高くなりますが、一般的な家庭だと、1メートルのドウダンツツジで十分。花瓶に挿すだけで、空間の雰囲気がガラリと変わります」と、魅力を説明します。

ドウダンツツジが好まれる理由について、「美しいビジュアルと価格に加え、なんといっても手入れが簡単なのに日持ちするところにある」と北野さんは言います。切り花に比べ、水替えの頻度が少なくて済む手軽さと、鉢植えのグリーンのように、「土の中に虫の卵があった」などで、虫がわく可能性もありません。枯れた後に面倒な土の処分もなく、花瓶の水を流すだけで処分できます。

ドウダンツツジは枝ものの中でも、日持ちの良さが際立ちます。6~8月の最も暑い時期でも、購入後2~3週間は元気で、環境と手入れが良ければ1か月ほども良い状態で楽しめることもあるそうです。

技アリの水量

そんな3拍子そろった、最強にコスパの良いドウダンツツジは、仕事に家事、プライベートなどで忙しい、働く女性の癒やしアイテムとして最適です。北野さんに、ドウダンツツジの魅力を最大限に引き出すためのポイントを教えてもらいました。

〈花瓶〉

枝の長さの3分の1程度の高さのものにしましょう。水替えができないときは、水のにごりが見えない不透明の花瓶でもいいですが、ドウダンツツジは水を汚しにくい「枝もの」です。花瓶の中の水を見せることで、涼しげなビジュアルがより引き立ちますので、透明な花瓶がおすすめです。

〈水切り〉

切り花・枝ものを長持ちさせるために、水の中で枝の先端を切り落とす「水切り」をします。枝が長く、スペース的に難しい場合は、水の中で切れなくても、すぐに水に入れれば問題ありません。水に触れる面が広くなるように、必ず斜めに切ります。

〈はぐ・根元割り〉

水に触れる表面積を増やすため、枝の外側をはぎます。先端から数センチほどまで、ハサミで十字を入れるのが、根元割りです。水の吸収を助けることができるので長持ちします。

インテリアグリーンとして大人気のドウダンツツジの魅力を老舗花屋の青山花茂に聞きました。
野菜の皮むきのように枝の外側をはぎます
インテリアグリーンとして大人気のドウダンツツジの魅力を老舗花屋の青山花茂に聞きました。
花バサミで割ります

〈深水〉

花の上級者向けテクニックで、花瓶に深く水を張り、水圧を高めて水を吸い上げさせる「深水」という方法があります。購入直後は、深水でしっかり水を吸い上げさせ、その後は水につかっている部分が多いとぬめってくるので、はいだ部分が水につかる程度の水量でいいでしょう。

〈手入れ〉

水替えは1週間に1度程度で大丈夫。花瓶の中の細菌が増えると切り口から水を吸い上げる力が弱まるので、花瓶の水に台所用漂白剤などを入れるといいでしょう。乾いてチリチリになった葉や、折れてしまった枝がついたままだと、他の枝に水が行かなくなるので切り取ります。

〈飾る場所〉

日光やエアコンの風が直接当たる場所は避けてください。枝が引っかかり転倒すると危険なので、家の中の動線に飾るのはやめましょう。大きい枝から20~30センチの短い枝を切り取り、一輪挿しとして飾るのもすてきです。根のある鉢ものと違い、枝ものに日光は必要ありません。日光が入らない玄関にグリーンがあると、雰囲気が明るくなります。

インテリアグリーンとして大人気のドウダンツツジの魅力を老舗花屋の青山花茂に聞きました。
ドウダンツツジの魅力を語る北野さん

ドウダンツツジは、枝ぶりが美しいので「広がり」も「高さ」も自由自在に表現することができます。北野さんは、「これから秋まで楽しめるドウダンツツジは、1種で生けるのもシンプルでカッコイイですが、季節の花などともよく合います。疲れたときは植物に触れてリラックスしてください」と話しています。(読売新聞メディア局 渡辺友理)

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北野 雅史(きたの・まさひと)
株式会社青山花茂本店 代表取締役社長

1983年生まれ。慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006〜2014年まで経営コンサルティング会社に在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。青山花茂のHPはこちら。

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