リカちゃん人形を使って自身のずぼらな日常を再現し、ユーチューブ「現実を生きるリカちゃんねる」で配信したり、インスタグラムに投稿したりしている女性「現実を生きる管理人」さんは、関東地方に住む20代後半の会社員女性。投稿のきっかけ、SNS投稿への共感のコメントを読んで感じたことを話してくれました。
――投稿し始めた経緯を教えてください。
2020年春、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、会社に出社できずに在宅ワークになりました。外出なども自粛する生活が続き、一人暮らしをする自宅で、1人で過ごす時間が増えました。SNSで、リカちゃん人形に自分が着たい服を着せて楽しむ「リカ活」を見て、私もやってみたいと思うようになりました。子どもの頃にリカちゃん人形で遊んでいて好きだったので。
動画の編集作業やSNS投稿に興味があったものの、キラキラした「リア充」なSNSは苦手でした。自分の姿を出すのは気がひけますし。そんな中で、「素の自分をリカちゃん人形で表現してみたい」と思い付きました。すぐにインターネット通販で、リカちゃん人形を購入しました。

――SNS投稿で表現しているのは、「素の自分」なのですね。
はい。大学を卒業して就職したのですが、本音を言えば、憧れの職業ではなく、大好きといえる仕事ではありません。でも、毎日、一生懸命働いています。会社員として真面目に働く自分と、帰宅してホッとする自分がいて。そんな姿を切り取りたいと思いました。最初に買ったリカちゃんの服は、上下のスエットです(笑)。
キラキラした生活になれるならなりたいけど、それは難しい。自宅の玄関で忘れ物に気づき、靴を脱がないまま膝を使って部屋に入るとか、玄関にビニール傘がたまってしまうとか、日常の自分の姿です。ずぼらですね(笑)。
――作品のリアルさがすごいですね。いつ作っているのでしょうか。
休日や仕事後に、自宅で作業しています。財布や領収書、髪飾りなどリカちゃん用の小物やセットは、自分で手作りすることも多いです。100円ショップで、布やタイルなどを買って作ります。あと、今は手作りサイトで、リカちゃんの服や小物がたくさん売られています。手作りサイトもよく利用します。自宅のテーブルの上でセットを作り、ライトを当てて、自分のスマホで撮影しています。
作品を眺めていると、けなげさを感じます。就職してから、自宅と会社の往復の毎日だけど、「毎日頑張ってるね」と、自分をいたわる気持ちがわいてくるんです。

――インスタグラムのフォロワーは98万人を超えていますね。たくさんの反響が来ていると思います。
「私も同じ」「リカちゃんの姿に救われた」など共感の声が多いです。SNS投稿への共感のコメントを読んで、たくさん同じような人がいるんだなと励まされたという人もけっこういます。みんな一生懸命生きているんだなと感じます。私の投稿で元気になってもらえるのはうれしいです。
私もそうですが、リカちゃんの姿を見ると、みんなが「自分だ」と思えるのだと思います。リカちゃん人形で再現するから、生々しすぎないし、かわいいと思えるんですよね。
【写真】横着して足で冷蔵庫の扉を閉める…「現実を生きるリカちゃん」の姿3選
――これから、やってみたいことなどはありますか。
これから例えば結婚して、子どもが生まれて、といったライフスタイルの変化があれば、自分のそのときの思いをリカちゃん人形で再現していきたいなと思います。独身ですが、クスッと笑えるような育児漫画は大好きなんです。
大きな変化は求めていません。マイペースに、自分の生活で「あっ」と思う気づきがあったことを、リカちゃん人形で再現して投稿していきたいですね。
(聞き手・読売新聞生活部 矢子奈穂)